IDC Japanは4月2日、国内パブリッククラウドサービス市場の2017年の実績推定値と2022年までの予測を発表した。これによると、2017年の市場規模は前年比29.8%増の5016億円となった。また、2017年~2022年は年平均成長率22.9%で推移し、2022年の市場規模は2017年比2.8倍の1兆4065億円になると予測する。
国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測:2017年~2022年(出典:IDC Japan)
2017年は実績推定値、2018年以降は予測
IDC Japanによると、2017年の国内パブリッククラウドサービス市場では、利用中のエンタープライズアプリケーションを可能な限り変更を加えることなくパブリッククラウドへ移行する「Lift & Shift」が活性化し、高い成長を遂げた。中でも、IaaSの成長は高く、先行して普及してきたSaaSの市場規模を超えて最大のサービスセグメントとなったという。
IDC Japanは、2017年の国内IT市場において、デジタルトランスフォーメーション(DX)が高い注目を集めたことは明白だとしている。DXアプリケーションはその開発に業務担当者の関与が必須であるとともに、優れた拡張性・柔軟性・連携性と短いサイクルでのリリースが重要となっている。そのため、「DevOps」や「Low Code/No Code(高度なプログラミング/コーディングなどを行わずにアプリケーション開発を行うこと)」に対する注目も高まっていると指摘する。
現在、「DevOps」や「Low Code/No Code」を実践する環境としてPaaSは著しく発展している。さらに、近年、高い注目を集めている「コグニティブ/人工知能(AI)システム」「IoTプラットフォーム」「APIエコノミー」に対応したPaaSは、本格的な提供が始まっている。これらのことから、PaaSの発展が今後の国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進する大きな要因になるとIDC Japanは見ている。
現在の国内パブリッククラウドサービス市場の成長を牽引しているのは、従来型ITからの移行だという。また、DXに関わる利用の拡大が、今後の同市場の成長を促進する重要な要因となると予測する。