海外コメンタリー

情報や金銭ではなく"信用失墜"狙う--国家級の高度なサイバー攻撃 - (page 2)

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-04-06 06:30

 「テクノロジだけでなく、より大きな社会システムも守らなくてはならない。こちらがテクノロジを守ることに力を注いでいるのに対して、敵はそうしたシステムを攻撃している。そのようなシステムを攻撃することで、敵はシステムに対する信頼を深刻に低下させている」とCooper氏は言う。

 同氏は、単に「安心させてくれるテクノロジを探す」だけでは対抗できないと述べ、さらに「今後われわれは、そんな技術は存在しないことに気づくだろう」と付け加えた。

 この種のサイバー戦争の本質的な問題は、多くの場合、攻撃がどのグループや国の手によるものかを明示するのが難しいということだ。しかし各国政府は、攻撃者をひるませ、阻止するために、攻撃者の特定に力を入れ始めている。ときには、研究者や警察機関が、攻撃の背後にいる容疑者を特定できることもある。例えばWannaCryの攻撃は、北朝鮮が関与したと報じられた

 またロシアは、2016年の米大統領選挙への干渉を試みたと名指しされた。さらに、当初はウクライナを標的としていたが、その後世界中の企業に拡散して数十億ドル規模の損害を出した「NotPetya」も、同国の仕業だとされている。

 Inglis氏は、「北朝鮮が2017年の春に行ったこと(WannaCry)を考えてみてほしい。もしその行動をとがめなければ、同じことが2018年にも、2019年にも、2020年にも起こるだろう。それが起きるのは確実で、問題はむしろいつ起きるかだ」と述べている。

 同氏は、この問題を解決するには、攻撃に対する報復として「代償」を払わせる何らかの対応が必要であり、さもなければ、ロシアや北朝鮮のような国は、繰り返し西側諸国を混乱させ、弱体化させる攻撃を仕掛けてくると述べている。

 それらの対応は、政府によって行われるべきだ。「政府は代償を払わせることができる。国家や、国家の支援を受けていると考えられる主体に対して集団的な対応をとることも可能だ」とInglis氏は述べている。

 ただし、米国はロシアに対して、NotPetyaで「史上もっとも破壊的で被害の大きいサイバー攻撃」を実行したとして追加的な制裁措置を導入したが、おそらくこれで重要インフラに対する攻撃が止まることはないだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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