Microsoftは米国時間4月4日、テクノロジの共同開発に向けた新たな知的財産(IP)戦略として「Shared Innovation Initiative」を発表した。これにより、オープンソースの価値を認めるとともに、顧客自らのイノベーションがMicrosoftに奪われるという不安を払拭(ふっしょく)したいと考えている。
イノベーションの共有に向けたこの理念は、「Microsoft Azure」の顧客がパテントトロールから保護するサービス「Azure IP Advantage」プログラムを土台にしている。
またこの新たな理念では、既存テクノロジの所有権の尊重や、新たな特許や意匠権を顧客が所有することの保証、オープンソースのサポート、新たなIPのMicrosoftへのライセンスバック、ソフトウェアの移植性、透明性、学習が網羅されている。
MicrosoftのプレジデントであるBrad Smith氏によると、この理念の目的は、共同開発したテクノロジをMicrosoftが奪い、競合手段として利用するのではないかという顧客の懸念を和らげることだという。
同社は、韓国の365mc病院における事例を挙げている。同病院はMicrosoftの協力を受け、手術中に医師を支援する人工知能(AI)システムを構築した。同病院はこのソフトウェアを他の病院に販売する計画だ。
Smith氏は「IT企業とその顧客の間におけるこうしたコラボレーションが増えるにしたがい、特許や、生み出されたIPの所有者が誰なのかという疑問も増えてくる」と述べている。
「顧客が自社の重要な特許を自らの新たなソリューションで利用できることを保証するようなアプローチが用意されていなければ、IT企業はその知識を用いて顧客の市場に参入し、競合となり得る(場合によっては顧客が創出に貢献したIPを使う場合すらあり得る)という懸念が大きくなってきている」(Smith氏)
Smith氏によると、Microsoftは「新たな発明への取り組みから得られた特許の申請に協力する」とともに、すべての権利を顧客に委ねるという。
その代わりにMicrosoftは、該当テクノロジにおける任意の特許について、「Azure」、AzureのAI関連サービス、「Office 365」「Windows」「Xbox」「HoloLens」などの自社のプラットフォームテクノロジを向上させることに限り使用が許可されると同社は約束している。
さらに、「顧客事業に対する技術上の支援を顧客に提供するために、Microsoftが開発した、あるいはMicrosoftに代わって開発されたコードやツール」を使用する権利も留保するという。
オープンソースに対するMicrosoftのコミットメントでは、「顧客がライセンスを供与されている任意のオープンソースプロジェクトのコードに貢献する」ために顧客とともに取り組んでいくことが保証されている。Smith氏はMicrosoftがLinuxカーネルに対してコードの貢献を行っており、プログラミング言語Rの進歩を支援している点を指摘している。
Microsoftは、契約によって顧客を同社のプラットフォームに縛り付けることはないと約束しており、顧客が将来的に代替製品上へとシステムを移植する自由を生み出している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。