ピュア・ストレージ・ジャパンは4月5日、人工知能(AI)の活用に最適化したという統合インフラストラクチャ「AIRI(アイリ)」を発表した。
「AIRI」の概要(ピュアストレージの発表資料より)
Pure Storage 製品・ソリューションマーケティング部門 副社長のMatt Kixmoeller氏
AIRIは、米国では3月27日に発表され、ピュア・ストレージのオールフラッシュストレージ「FLASHBLADE」とNVIDIAの“AIアプライアンス”「NVIDIA DGX-1」を中核に、ソフトウェアとして「NVIDIA GPU CLOUD DEEP LEARNING STACK」や「ANRI SCALING TOOLKIT」などを組み合わせた事前構成済みの統合インフラストラクチャとして提供される。なお、AIRIは「AI-Ready Infrastructure」の意味を込めたようだ。
概要を説明した米Pure Storage 製品・ソリューションマーケティング部門 副社長のMatt Kixmoeller氏は、AIRIを製品化する以前から、NVIDIA DGX-1をAI処理のために導入するユーザーがストレージとしてPureStorage FLASHBLADEを選択する例が多かったことを指摘し、「顧客の要望に基づいたベストなコラボレーションだ」と語った。
また同氏は、企業がAIを活用するのはビジネスを迅速に進めるためだとした上で、AI関連のさまざまなフレームワークを稼働させ、さらに適切なハードウェアの組み合わせを決定するなどのインフラ構築の作業に時間を要してしまっているという課題も指摘する。そこで、AIRIのような事前構成済みのプラットフォームがユーザーから望まれていることを強調した。
エヌビディア エンタープライズマーケティング部 シニアマーケティングマネージャーの佐々木邦暢氏
ゲストスピーカーとして登壇したエヌビディア エンタープライズマーケティング部 シニアマーケティングマネージャーの佐々木邦暢氏は、AIRIのコンピューティング・モジュールとして採用されたNVIDIA DGX-1のアーキテクチャについて解説。DGX-1が同社のGPGPUエンジンである「Tesla V100×8」の演算性能を引き出すために設計されていることに加え、障害対策やスケールアウト型の拡張を実現するためにステートレスなサーバとして設計されている点を挙げた。
また、ローカル環境に搭載したSSDは、OSの格納やキャッシュとしては使用するものの、固有のデータをローカルに保持することは避ける設計になっていることから、Teslaに大量のデータを遅延なく供給できる高速なストレージと接続することが必須だとした。なおDGX-1では、NICとして100GbpxのInfiniband/Ethernet共用モジュールを搭載しており、通常はInfinibandが使われる例が多いものの、AIRIではエンタープライズユーザーにとって、よりなじみの深い100Gbps Ethernetを採用し、スイッチとしてARISTA Networksのスイッチが組み合わされたという。
AI活用に必要な基盤を事前検証済み構成で提供する(ピュアストレージの発表資料より)
AIRIはパートナー経由で販売されるが、国内でAIRIを取り扱うパートナーは現在選定中とのことで、近日発表される予定だ。価格については大まかな目安として、PureStorage FLASHBLADEとNVIDIA DGX-1をそれぞれ導入する場合と比較して特にプレミアムな値付けはしていないとのこと。同様の構成のシステム構築を検討しているユーザーにとっては、同等のコストで必要なソフトウェアまで事前構成済みのプラットフォームを選択できるという形になるようだ。