ガートナージャパンは4月9日、ITのインフラストラクチャとオペレーション(I&O)のスキルギャップに、3分の2の企業が適切に対応できていないとの見解を発表した。こうしたスキルギャップは、デジタルビジネスへの取り組みの妨げとなり、従来とは大きく異なる役割とテクノロジを今後5年間で導入する必要があるとしている。
2020年までに、企業の75%はI&Oのスキルギャップによって、目に見える形でビジネスの破壊的変化を経験すると予測している。これは2016年時点で発表された20%未満という予測から大幅に増加した。
ガートナーは、2019年までにIT技術スペシャリストの採用が5%以上減少し、2021年までにITスタッフの40%が複数の役割を担うようになると予測している。こうしたことを背景に、I&Oのリーダーは社内人材のスキル開発から始めなければならないと提起している。
また今後の対策として、I&Oのリーダーが人事部門と連携し、ポジションベースの能力開発から脱却して、戦術的なスキルギャップ分析を実行することが重要だとした。そして、技術的な知識や教育、研修といったI&Oの職務内容(what)ではなく、求められる行動面のコンピテンシという方法(how)に焦点をシフトさせる必要があると指摘した。
さらに、2020年末までITサービス管理におけるAIイニシアチブの99%が、確立されたナレッジマネジメント基盤の欠如によって、失敗に終わると予測している。ナレッジマネジメントは、チャットボットや仮想サポートエージェント(VSA)がビジネスユーザーからの質問に回答する上で不可欠だが、静的なナレッジベースから収集された既存のデータをもとにしている場合、その回答はスクリプト化された解決策を繰り返すだけになることが多い。
こうした失敗にを回避する方法として、ナレッジに基づく対応では問題解決に至らない場合に、従来のチャネルへ自動的にエスカレーションすることで、会話が行き詰まることのないように配慮すべきだという。そうした対策を実施する上でも、必要なスキルだけではなく、既存テクノロジと先進テクノロジの両方を学び使いこなしていく意欲と能力のある人材が欠かせないとした。