東北大学大学院 医学系研究科は、乳がんエコー画像診断研究にディープラーニングの活用を開始した。ディープラーニング機能を持つ製品を提供したSAS Institute Japan(SAS)が発表した。
乳がんエコー画像診断では、エコー画像の読影が技師や医師の主観や経験に依存しがちな点や、読影による負担の増加といった課題を抱える。乳がんの主要な画像所見である「腫瘤(しゅりゅう)」と呼ばれる病変は、その形状や特徴が多種多様で良性と悪性の判別が難しい場合も多く、より正確に判定できる技術が求められていた。
この課題の解決のため同研究科では、エコー画像の読影にディープラーニングの技術を活用することを検討、画像を認識して高い精度で分類/推論できるディープラーニング手法「CNN(Convolutional Neural Network)」に着目した。
そして、対象の識別に有効な特徴量を学習によって自動的に獲得できるCNNの特長を生かし、これを乳がんの病変の多様性に応用するため、CNNの実装が可能なSAS Viyaを採用した。同研究科では、SAS Viyaについて、医学研究生にも複雑なディープラーニングを簡単なコードで実装できる点やスケーラビリティを評価している。
今後の研究を通じて、診断におけるCNNの有効性が検証できれば、医師の読影負担軽減はもとより、偽陽性による無用な侵襲的検査や患者の心理的負担を回避し、医療費の削減にもつながることが期待される。
SAS Viyaは、幅広いユーザー層を対象に設計されているため、SAS言語やPython言語、R言語を使って容易に最先端の人工知能技術を研究に取り込むことが可能。
同研究科では、2019年3月を目途に論文や学会での発表を目指してSAS Viyaを活用した研究を開始している。今回の研究で作成したディープラーニングのモデルは、今後そのまま臨床でも実用化していくとともに、研究を通じて得たディープラーニングに関するノウハウやナレッジを新たな分野に展開していくという。