さらに高見氏は、2つの標準化として――「ロボットの標準化」と「業務の改善と標準化」――があり、これらも検討が必要な要素であるとした。
ロボットの標準化は、開発フレームワーク、開発標準などルールの整備や、ロボットパーツの共有化、迅速な問題解決を可能にするプロセスなどにより、高いQCD(Quality、Cost、Delivery)を実現できる。また、詳細設計書や業務記述書といった、文書化が必要な成果物の定義も重要になる。
業務の改善と標準化では、RPAの効果をさらに引き出すために、「業務改善と自動化」が不可欠になるという。現在の業務をRPAで再現するだけでは限定的な効果にとどまってしまう。ガバナンスについては、RPAの責任者がCoE(Center of Excellence)として「ガバナンス」「インフラ」「アプリケーション」「開発・本番移行」「エラー対応」「オペレーション」の6つの機能から、開発チームと業務チームをそれぞれの局面で協働させる体制が必要であると指摘している。
ポリシーについては、「ロボット化対象業務方針」「ロボット管理台帳による管理」「開発チェックリスト」といったRPAのガバナンス体制の構築、そして、「業務責任者・業務担当者・開発リーダー・開発者のR&R」「本番移行基準」といったロボット開発承認フローの策定が重要であるとした。
現在のRPAの進行状況は5段階のうち第2段階
今後の展望として高見氏は、RPAの拡大が5段階で進むとの見方を示した。第1段階は「PoCとパイロット運用」であり、既に一巡した状況にある。現在は第2段階の「適用対象の拡大」が進行中で、効果を見ながらRPAの適用業務を拡大していくとともに、トレーニングを通じて、社内人材の育成・確保を図っている。
早いところでは、第3段階の「複数部門・複数会社展開」に進行している。ここでは、ガバナンスやセキュリティ、運用体制などが主要な論点になり、業務・IT横断的な組織と、取り組みがより求められる。
第4段階は「RPAの確立」で、グループ内におけるRPAの安定稼働のプラクティスが確立され、OCR(光学文字認識)など他のテクノロジとの組み合わせにより、業務自動化の領域拡大を図る段階であるとした。その先の第5段階は「Virtual Workforce」になり、さまざまな業務の中にRPAが組み込まれ、内製化・ロボットの中央管理とともに、人間とRPAとの協業が進むという。また、この段階が一般的になる頃には、「Robotic-as-a-Service」の提供、RPAと人工知能(AI)の組み合わせなど、RPAサービスや機能の進化も実現するとした。