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コンサルティング現場のカラクリ

IT部門の苦悩(8)--人材にも苦悩がある

宮本認(ビズオース )

2018-04-29 07:00

(本記事はBizauthが提供する「BA BLOG」からの転載です)

人も落ちこぼれている

 何かと上手くいかないIT部門なのだが、部門としても落ちこぼれているように、人も落ちこぼれている。言い方としては適切ではにないかもしれないが、落ちこぼれを宿命づけられている中で、実際に落ちこぼれてしまっている。すなわち、制度的に他部門に優秀な人材を持っていかれるようになっていたり、他部門との間で上下関係は下になるようになっている中で、実際に下になってしまっているのだ。

 日本企業の人事制度では、多くの場合、職能制がとられ社内職制にのっとって給与が違ってくる。経営企画、経理、人事など戦略や業績管理に直結する部門は、同じ部長でも職制が高い人たつく。一方、IT部門は同じ部長でも職能が低い人が付くことが多い。部長でさえそうなのだから、その下の課長や一般社員の職制も同様になっていく。そもそも、会社のランクとして、下とみられていることが多いのだ。

 これは、伝統的な企業に多くみられる傾向だ。ランクが下だからといって、仕事をしないかと言われると、そういうことはないのであるが、われわれからは見えない上下関係というのがどうも存在するようで、どこか活気がないし、諦観をしている人が多いように感じてしまうことが多い。

 実際に、会議においては本当にしゃべらない人が多い。こうした風潮は、固い企業、伝統的な企業であればあるほど顕著なのであるが、例えば部長が出ている会議であると、その部下の人は、全くしゃべらない。部長から促されたときにしか、しゃべらない。資料に対して、黙々と線を引き、うなづき、メモを取る。こうした人たちが、生来無口なのかというと、決してそんなことはない。むしろ、色々なことを良くしゃべる面白い人だったり、きちんと意見が言える人だったりするのであるが、中々しゃべらないのだ。

 その会社全体の雰囲気がそうなのかと思っていると、決してそういうことはない。経営企画部門や、営業部門などの他部門と話していると、その部門の下の人たちは、会議の席でも結構良くしゃべる。部門の構成や、人事異動の形態などもあり、しようがないのかもしれない。要は、IT部門の人は、異動が少ないので、上にいる人がやっぱり一番知っているので、下の人は本当にしゃべりにくいのであろう。

 会議でしゃべらないということは、IT部門の人たちは、基本的に経営企画部門、営業部門など実際のビジネスを担っている人達の言うことには、言いなりである。正確には、言われたことをそのまま受け止めるという方がいいかもしれない。例えば、DBマーケティングを強化したい、マイクロマーケティングの時代だ、FinTechを導入したいという要請があれば、「そうですね」と受け止めてしまう。

 そして、ベンダーに聞く。その上で、自社内でもむ。もむと言っても、部長の言うことをそのまままとめるとでも言おうか。このプロセスに数カ月を要する。そこに自分なりのビジョンや意思はあまり加わらない。上述したが、実行の難易度は極めて高いので、その意見がそのまま反映されていくこととなる。結果的に、大したことはできないが、投資は非常にかかる案が提示される。受けとったユーザー部門は、「なんだこれは」と怒りを覚えてしまう。

 経営部門や営業部門は、単にやりたいことだけを伝えているかもしれないが、こうした不毛の議論が数度にわたって経験値として残っていく。「うちのIT部門はダメだ」という記憶だけが残っていく。

 IT部門は意見がないのかというと、決してそういうわけではない。会議の後に煙草部屋で一息ついているときなど、「ユーザー部門は本当にわかっていない」「他社やコンサルに言われてて舞い上がっている」という辛辣な言葉が、ポンポンとついて出てくる人も多い。我々は客商売なので、その場では「そうですよね」と相槌を打ってしまうことも多いので、安易な相槌は我々も戒めなればならない。しかし、「それ、さっき言った方がよかったですよね」と言うことはしばしばある。

 意見がないわけではない。しかし、それを相手に言って聞かせるようなコミュニケーション能力に自信がないのであろう。そういうことが鍛えられていないのかもしれない。さらには、「どうせ自分達の意見など聞かれない」と思っているのかもしれない。ただ、止めるべきことを早く止める、方向転換すべきことを早く方向転換するといったことを、遅らせていることへの罪悪感はほぼない。自分が頑張っても会社は変わらないという意識はとても強いのだろうし、そもそも会社に対する忠誠心や、オーナーシップが弱いのであろう。

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