Vogels氏は、組織の変化を加速させる要素として、セキュリティの強化やすべてのAWSサービスが欧州の一般データ保護規則(GDPR)に対応したこと、ITリソースへのアクセスに必要な機密情報の管理を容易にする「Secrets Manager」とSSL/TLS証明書関連サービス「Certificate Manager」についても話した。
AWS Summitでは、これまで述べてきたようなサービスの発表以外にも、AIやIoTなどのサービスに関するさまざまなセッションが開催されたが、その中には、CIOが率いるチームを、企業のイノベーションの取り組みを先導できるように再編しようとする際に直面する課題に注目したセッションも2つあった。そのうちの1つは、AWS Advisory ServicesのPravin Raj氏によるもので、もう1つは元Coca-ColaのIT責任者であり、最近AWSのエンタープライズストラテジストチームに参加したMiriam McLemore氏によるものだった。これらのセッションは、Forresterが大規模な調査を行ったトピックである、変革に関する人間の要素を扱ったものだった。多くの場合、IT部門のスタッフは、新たなテクノロジについて学ぶことの難しさや、それらのテクノロジがもたらす価値を問題にする。しかし実際に変革を進めようとする際に直面する問題の70~90%は、スタッフが自分の役割や、会社にとっての自分の価値、自分の仕事がそれらのサービスに取って代わられるリスクなどについて抱く個人的な不安だ。
CIOは、ITスタッフが変化を受け入れるのを手助けし、今後新たなスキルを習得していけば、スタッフは現在も、そして将来も必要とされることを理解させる必要がある。スタッフが新たに必要なスキルやサービスを身につけることを前提として、今後何が変わり、どうすれば未来のチームの一員として価値を高められるかを示さなくてはならない。もちろん、スタッフのトレーニングや資格取得に投資し、組織がスタッフに期待していることを示すのも重要だ。またスタッフに対する投資には、失敗を受け入れることも含まれる。イノベーションの成功は、失敗の経験と、失敗から学んで戦略を改善していくことなしにはあり得ない。残念ながら、失敗を認める文化を持つIT組織は少ない。失敗を経験しなければ、スタッフが上のレベルに到達したり、会社のイノベーションと変化を先導するエージェントになることは難しい。
会社の未来のために、技術的なイノベーションや変化を促進する必要があると考えるなら、まずスタッフのための変化の要素を取り入れる必要がある。
AWSは、顧客がこれを推進できるように手助けすることが重要だと理解している。シャドーITが進むだけの未来では、顧客が次のレベルに進むことはできない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。