AGLは、自動車の音声認識機能や車両・クラウド間接続にも取り組んでいる。Amazon Alexa、Nuance、Voiceboxが主導するSpeech Expert Groupは、自然言語処理、文法開発ツール、オンボードおよびクラウドベースのスピーチ、ノイズ軽減やエコーキャンセリング向けの信号処理などを含む、音声関係の技術に関するガイダンスを提供する予定だ。
一方のTeslaは、現在も独自路線を貫いている。とは言え、Teslaも開発を進めており、同社の最新のファームウェア8.1(17.24.30)では、Linuxカーネルを古い2.6.36から4.4.35にアップグレードしているという。
自動車でLinuxを活用しようとしている団体はAGLだけではない。Ford、トヨタ自動車、マツダ、スズキが参加するSmartDeviceLink(SDL)コンソーシアムでは、スマートフォンと自動車をスムーズに連携させるためのLinuxベースのオープンソースソフトウェアに取り組んでいる。
またGoogleも、自動車用の独自のLinuxである「Android Auto」を開発している。このOSは、Open Automotive Allianceの成果だ。GoogleはAndroidがスマートフォン市場を制するのにつながった「Open Handset Alliance」と同じことを、スマートカーの分野でも再現したいと考えているかもしれない。この新しいアライアンスには、Acura、Audi、Cadillac、Ford、GMC、本田技研工業、現代(ヒュンダイ)などをはじめとする多くの自動車メーカーが参加している。
Linuxで動いているのは自動車だけではない。Kirkland氏は、ライドシェアサービスのLyftも「立ち上げ時から、サーバからデスクトップ、クラウドまで、全面的にUbuntuを使用している」と述べている。
Kirkland氏はさらに、「BoshやContinental Auto Partsなどの主要自動車機器メーカーは、コンポーネントにUbuntu IoTを使用することが多くなっている」と付け加えた。それに加え、GPSデバイスメーカーである「TomTomもバックエンドでUbuntuを使用している」という。
Kirkland氏は、今後は機械をいじるのが好きな人だけでなく、ソフトウェアに詳しい人も自分の自動車に手を入れる時代になると予想する。「法令遵守がどうなるかが問題だ。車好きの人たちは、これまでも自動車を改造してきたが、公道を走らせたければ、改造は規制の範囲内でなければならなかった。しかし、車好きのソフトウェアエンジニアが自動車に手を入れた場合、その改造内容を検査するインフラは存在しない」と同氏は言う。少なくとも、現在はまだ存在していない。
とにかく、自分で車を運転するにせよ、ほかの人が運転する車に乗るにせよ、自動車のソフトウェアに手を入れるにせよ、自動車の未来はLinuxと共にあると言えるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。