「微信小程序(WeChatミニプログラム)」という、騰訊(Tencent)の微信(WeChat)内で動くインストール不要のクラウドアプリが、今年の1〜3月に急増している。リリースされた2017年年始以降、知る人ぞ知るという状況で、それでも微信という国民的アプリの1機能であることから、1億人程度までアクティブユーザーが増えたが、一気に4億人までアクティブユーザーが急増した。
アプリの利用動向などを調査するQuestMobileによれば、微信小程序の月間アクティブユーザーは、2017年11月は1億1100万、12月は1億9300万だったのが、2018年1月には4億7200万と最高値となり、2月には4億4400万、3月には4億500万と下がっていったという。また日間アクティブユーザーは2億超を天井に、3月は1億4000万程度で推移している。年齢的には特に若い人や所得が高い人が積極的に利用するというわけでもなく、年齢層にしても所得にしてもほぼ微博ユーザーと構成が一致するそうだ。
微信小程序は微信内クラウドアプリで、ポータルでもある。特徴としては、新たにアプリをインストールする必要がなく、スマートフォンなどのリソースをとらない点や、過去に利用したアプリ(ミニプログラム)のほか、位置情報と提携して関連するアプリ(同)を提示してくれるのがポイントだ。
例えば病院の近くで、位置情報からアプリを検索するとはその病院のアプリが検索上位に出てくるという点が挙げられる。つまりこれまでのアプリストアでは見つかりづらかった場所に限定されたニッチなアプリがユーザー見つかりやすくなるわけだ。こうしたことから、多くの店舗や企業や病院などがミニプログラムをリリースしている(ただし海外向けのWeChatにも「ミニプログラム」があるが、試したところ中国本土外ではまだ位置情報と連携したアプリ(同)はないようだ)。またGoogleやAppleへの依存を弱めることができるという中国の思惑もある。
アントフィナンシャルの支付宝(アリペイ)もミニプログラムをリリースしている。こちらはどちらかというとコンシューマー向けもあるが、公共サービスやビジネス寄りのアプリが多い。これだけでも十分面白いので機会があればそのうち紹介していく。またファーウエイやOPPO、小米(Xiaomi)などのスマートフォンメーカーは、これまでメーカーごとにアプリストアを出していたが、微信小程序の普及によってポータルを奪われる恐れがあることから、スマートフォンメーカーが連合で「快応用」という同コンセプトのアプリをリリースした。