HPE、GPU特化型サーバ「Apollo 6500 Gen10」を発表--企業のAI活用を支援

藤本和彦 (編集部)

2018-04-24 07:00

 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は4月23日、企業の人工知能(AI)用途に最適化された高性能コンピューティング(HPC)システム「HPE Apollo 6500 Gen10 System」を発表した。同日から販売を開始する。最小構成価格は248万5000円(税別)。

 Apollo 6500 Gen10は、GPUを高密度搭載してディープラーニング(深層学習)向けに特化したx86サーバ。Gen10では、企業環境での利用に適したアーキテクチャに刷新された。4Uサイズのラックマウント筐体に8基のGPUを搭載する。GPUは「Radeon Instinct MI25」「NVIDIA Tesla P100」「同V100」「同P40」から選択可能となっている。ハイエンドモデルは、GPU間の通信を高速化する「NVLink 2.0」に対応。従来モデル(Gen9)と比べて、約3倍の性能向上を実現し、深層学習に掛かる時間を3分の1に短縮したとしている。

HPE Apollo 6500 Gen10 System
HPE Apollo 6500 Gen10 System

 スタンダードモデルは、CPUとGPU間をPCI Express(PCIe)で接続する方式。GPU4基にCPU1基(4:1)、あるいはGPU8基にCPU1基(8:1)という構成で接続トポロジを決められるが、どの接続構成が有効であるかを判断するのは、ディープラーニングの技術者でも難しい作業であるという。Apollo 6500 Gen10では、BIOS設定を変更するだけで接続構成を切り替えられる仕組みとなっている。

 企業での利用を想定した設計となっている。奥行き1075mmの標準ラックに搭載可能となり、Gen9で必要だったエンクロージャや電源用筐体が不要。サーバOSは、UbuntuとCentOSに加えて、Red Hat、SUSEをサポートする。管理チップ「HPE iLO5」も搭載する。電源冗長化を備え、耐障害性を高めている。「エンタープライズ環境で利用される汎用サーバと同じように運用、管理できる」(HPE ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャー 高橋健氏)としている。

 その他の特徴としては、Xeon Scalable 8100/6100シリーズの採用、DDR4 2666MT/sのメモリを24枚搭載、InfiniBand/Omni-Pathの通信アダプタを最大4台搭載、SAS/SATA/SSDを16台またはNVMeを4台搭載としている。HPEでは、Apollo 6500 Gen10のユースケースとして、外観検査、自動翻訳、人物検出、HPCといった分野を見込む。

本田昌和氏
HPE ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長 本田昌和氏

 Apollo 6500 Gen10の提供に合わせて、サポートサービスの拡充も図る。具体策として、「ディープラーニング開発環境構築サービス」「HPE Deep Learning Cookbook」「GPUベンチマークセンター」を展開する。

 ディープラーニング開発環境構築サービスは、ディープラーニング開発環境の構築を目的として、Apollo 6500 Gen10にシステムやドライバ、機械学習フレームワークの構築と設定を済ませた形で提供する。

 HPE Deep Learning Cookbookは、ベンチマークツールやガイダンスツール、リファレンスデザインなどの支援ツールを提供する。構成決定に掛かる試行錯誤の時間を短縮できるとしている。GPUベンチマークセンターは、Apollo 6500 Gen10にNVLink対応Tesla V100を8基搭載したシステムをリモートで体感できる環境を用意する。

 また、従量課金サービス「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ」を活用することで、オンプレミス環境でありながら利用量に応じて使った分だけ支払うことも可能になる。

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