Hadoopありきから脱却する日本のビッグデータ利用--Cloudera代表の中村氏

國谷武史 (編集部) 2018年05月02日 06時00分

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 企業でのビッグデータ活用がIT業界側から提唱されて久しいが、2017年11月にCloudera日本法人の代表取締役に就任した中村共喜氏は、「ようやく第2段階に入りつつある」と話す。今なおビッグデータ活用技術の概念実証(PoC)が多いものの、ユーザー側のデータの活用目的が明確になってきたという。


Cloudera代表取締役の中村共喜氏

 「ビッグデータ活用の第1段階は『Hadoop』という言葉を聞いても怯まず、関心の高いエンジニアに技術を提案するところでとどまっていた。いわば“PoCのためのPoC”がメインで、技術ありきでは経営層にデータ活用の重要性が理解されず、海外に比べて日本でHadoopの普及が加速しない原因にもなっていた」(中村氏)

 多くのエンタープライズソフトウェア企業の日本法人でトップを務めた経歴を持つ中村氏は、Clouderaでは、Hadoopをはじめとするオープンソーステクノロジを企業のビジネスにどう利用していくべきかという提案スタイルに改めることへ注力していると話す。同社の役割はビッグデータを集め、利用するためのプラットフォームというが、企業が抱えるビジネス課題を軸に据えることで、「いま検証に取り組む企業は、こうありたいというゴールのグランドデザインを明確に描いた上でテクノロジをアグレッシブに利用している。同じPoCでも、以前と現在ではレベルが違う」という。

 同社の顧客の中で、特にこの段階に進んでいるのが金融や通信と一部の製造や流通だという。金融では、資金洗浄や内部不正といった犯罪リスクへの対策が重要な経営課題の一つだが、Hadoopのデータプラットフォームに膨大なトランザクションデータなどを集めて分析することでリスクの検知と迅速な対応を実現しつつある。また、顧客の解約率を低減するために、サービスの利用状況やさまざまな顧客接点におけるインタラクションなどの膨大なデータをプラットフォームに取り込み、分析を行っている。

 中村氏は、技術ありきの訴求が日本のビッグデータ利用の推進を妨げてきた1つの要因だったと指摘するが、一方でHadoopなどのオープンソーステクノロジの成熟が着実に進んだことで、エンタープライズのメインストリームになり得る完成度に高まったとも話す。

 「Apacheコミュニティーをはじめとするエンジニアたちの尽力によって、データプラットフォームとその上でさまざまなワークロードを展開できる環境が整った。海外では、数千、数万ものノードを稼働させ、数十ペタバイトから100ペタバイトを超える規模のデータを格納して、多数のアプリケーションを利用している。技術的にも十分にこなれてきたといえる」(中村氏)

 中村氏によれば、国内はメインフレームからデータウェアハウス(DWH)にデータを取り込んで分析するスタイルが一般的だが、データソースの広がりやデータ量の増大を背景に、DWHでは扱いきれないデータをHadoop上に収容し、ETLの処理を行ってからDHWに取り込むという使い方が出てきている。一方、海外では先にデータソースからHadoop上にデータを取り込み、クレンジング済みのデータをDWHで効率的に利用するというスタイルが主流という。

 「日本企業の多くはまだプラットフォームの拡張に主眼を置いているが、ユーザーの状況に合わせつつ、海外のようなスタイルを実現していく取り組みを一緒に進めている」(中村氏)

 また同氏は、Hadoopが分析と機械学習のためのデータプラットフォームであり、同社がそれを提供する存在であることも掲げる。4月には、パートナーのNTTデータとDataRobotと共同でHadoopに対応したDataRobotの機械学習基盤の提供を開始した。2017年9月にはClouderaが機械学習技術の研究開発やコンサルティングを手がけるFast Forward Labsを買収し、2018年以降に国内でのサービス提供も検討しているという。

 ただ、中村氏はあくまでHadoopディストリビュータとしてのClouderaの立ち位置が根底にあり、オープンソーステクノロジを利用する企業に対するサポートこそが事業の生命線だと強調する。「国内のサポートが全てのイニシャルコールに対応しており、常に増強している。その上で2018年はビッグデータ利用の『灯台』となるようなユーザーを着実に増やしたい」(中村氏)

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