レッドハットは4月24日、3月から始まった新年度事業戦略について記者向けに説明する会を開催した。ハイブリッドクラウド基盤、クラウドネイティブアプリケーション基盤、自動化を軸にした「オープンハイブリッドクラウド」を進める。イノベーションを起こすためのラボの開始、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)やNTTデータ、HPEなどパートナーとの協業も併せて発表した。
代表取締役を務める望月弘一氏は、2月に終了した2018年会計年度について、年間売り上げが21%伸びるなど順調だったことを強調。JBOSS Middlewareの成長などによる案件の大型化、クラウドとコンテナ活用が促進するなど次世代のIT環境への関心が高まったこと、DevOpsによる自動化に人気が集まったことなどを、年度を通じた特徴として挙げた。
レッドハットの代表取締役を務める望月弘一氏
3月に始まった2019年会計年度は、OpenStackによるハイブリッドクラウド基盤、OpenShiftによるクラウドネイティブアプリケーション基盤、Ansibleによるクラウドに対応した管理と自動化を進める。
ハイブリッドクラウド基盤では、Red Hat OpenStack Platform 13により、コンテナへの対応、5年サポート版などを提供、ディストリビューションからの移行も促進する。クラウドネイティブアプリケーション基盤では、GPU対応によるAI(人工知能)コンテナの実行基盤としての推進、サーバレスやマイクロサービスへの対応、既存システムのコンテナ化などを進める。クラウドに対応した管理と自動化では、自動化の対象領域をRHEL(Red Hat Enterprise Linux)、Windows、VMware、OpenStack、AWS(Amazon Web Services)、Azure、GCP(Google Cloud Platform)、LDAPなどに拡大。ITの自動化を推進することで働き方改革の提案を強化していく。Ansibleパートナーエコシステムでは、認定エンジニアを22社72人から50社200人に増やし、ソリューションパートナーは17社から30社へと拡大を目指す。
Open Innovation Labsを設立
望月氏は、アイデアをイノベーションに変える文化、プロセス、技術の実践の場として、新たに「Red Hat Open Innovation Labs」を同日に設立したと発表した。ラボでは、Red Hatのコンサルティングチームと顧客が1つのチームとなり、既存、新規を問わずアプリケーションを生み出す。
4~12週間を目安に、常駐形式の環境で、組織横断的な協業によるプロトタイピングプロジェクトを実践し、顧客はアジャイル開発やDevOps導入の方法論を学ぶ。
パートナーとの協業も
重点領域において、 NTTデータやHPEなどパートナーとの協業も発表した。その中で、CTCとは、OpenShiftの領域で、インフラ構築やアプリケーション開発の迅速化を目指す。CTCはオリエントコーポレーションの導入事例を発表。アプリの変更やデプロイの迅速性向上により、安全で可用性の高いアプリケーション基盤を構築した。インフラ構築コストは従来の3分の1になり、アプリ構築からデプロイまでの時間も2分の1になったとしている。