RPAはあらゆる部門から支持されているが、その例外がIT部門だ。Deloitteの調査によれば、企業幹部の72%がRPAを支持していたが、「その一方でIT部門は、利害関係者の中で、依然としてもっともRPAへの支持が低い」という。実際、RPAの取り組みを支持しているIT部門は31%にすぎない。調査チームは、「IT部門は多くの場合、システムの正常な運用や、クラウドへの移行、次世代ERPの準備などの、差し迫った大規模な課題に力を注いでいるため、IT部門の優先順位リストの上位にRPAが食い込むのは難しいかもしれない」と述べている。
またIT部門には、RPAの流行の裏側で、テクノロジと結びついた既存のプロセスをバラバラにして、デジタルワークフォースのアプローチに合わせて再構築し、その際に起きる混乱を収拾する役割が課されることになる可能性がある。Wright氏らは、「プロセスの標準化は、企業がRPA導入のあらゆる段階で直面する課題の中でも、もっとも厳しいものだ。簡単に言えば、プロセスが複雑になれば、ロボットも複雑になる。それに従ってRPAを設計、実装するための費用や難易度も上がり、運用費も上昇し、事業の混乱も大きくなる。ロボットに作業をさせるには、プロセスを詳細に分析し、キーストロークのレベルまで教え込む必要があるが、プロセスに関するしっかりした文書が存在する場合でさえ、しばしば必ずしもプロセスが明確に理解されているわけではないと判明することがある」と指摘する。
それでも、(少なくともビジネスリーダーからの)RPAに対する期待と、デジタルワークフォースの持つ可能性は大きい。Deloitteの調査チームは、ゆくゆくは「ロボットが現在のトランザクション作業のかなりの部分を担えるようになる可能性がある」と述べている。「平均的には、フルタイムの雇用人員が行っている作業の20%がロボットで提供できると予想される。この予想は、すでにRPAを導入している企業での実態にも合致する」
また、すでに大規模なRPAの導入に成功している企業は、「非常に好ましい結果が出ていることから、より野心的な期待を持っており、フルタイムの雇用人員が担っている作業の52%をロボットで提供可能だと考えている。これによって、人間の労働者をより付加価値の高い活動に再配置することが可能になる」という。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。