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米TableauのCDO--「分析データの整備に8割の時間が費やされている」

日川佳三

2018-04-26 09:51

 「データ分析の仕事の8割はデータのクレンジングに費やされている。データの分析にかけられる時間は2割しかない。この課題を解決するため、データをクレンジングして分析可能な状態に整備するデータプレパレーションソフトを用意した」---。

 米Tableauが開発・提供している「Tableau」は、簡単に使えることを重視した現場向けのBIソフトだ。Excelファイルや外部接続のRDBMS、SaaSといった各種データソースを取り込み、可視化レポート(ダッシュボード)を作成できる。

 スタンドアロンで動作するフル機能版の「Tableau Desktop」のほか、Tableau Desktopよりも機能は少ないがウェブブラウザを介してデータを分析する「Web Authoring」機能を提供するサーバ版の「Tableau Server」、Tableau ServerをSaaS型で提供する「Tableau Online」がある。

 4月25日には、最新版「Tableau 2018.1」の提供を開始した。新版のハイライトは、分析データをクレンジング(形式の揺れや入力エラーを修復)して分析可能な状態に整備する“データプレパレーション”ソフト「Tableau Prep」を追加したことだ。

 新版の提供に合わせ、Tableauの利用者が使う機能の違いによってライセンスを3つに分割した。データ分析担当者などに適したフル機能版の「Tableau Creator」、業務部門のパワーユーザーに適した「Tableau Explorer」、ダッシュボードを見るだけでよいユーザーに向けた「Tableau Viewer」、だ。

 新ライセンスはいずれも、月額制のサブスクリプション形式で提供する。なお、Tableauは今回のバージョンから、永続ライセンスの新規販売を停止し、サブスクリプション型での販売に一本化した。

分析データの“汚れ”解消に費やす時間を短縮

 新たに追加したTableau Prepは、分析データが含む形式の揺れや入力エラーを修復するデータプレパレーションソフトだ。背景には、多くのユーザーが分析データの整備に課題を抱えている、という状況がある。

 「データを分析するアナリストがいても、アナリストの仕事の8割はデータプレパレーション(分析データの整備)に費やされている」---。米TableauでChief Development Officer(CDO、最高開発責任者)を務めるAndrew Beers氏は、データ分析の課題をこう説明する。

米TableauでChief Development Officer(CDO、最高開発責任者)を務めるAndrew Beers氏
米TableauでChief Development Officer(CDO、最高開発責任者)を務めるAndrew Beers氏

 分析データの課題は、データが汚れていることだ。日付や郵便番号のフォーマットが複数混在していたり、データの入力ミスが含まれていたりする。複数のデータソースをまとめて分析する需要もある。

 「汚れたデータをクリーニングして分析可能な状態に整備するのに費やす時間を短くして、本来のデータ分析にかけられる時間を増やす」(Beers氏)ことがTableau Prepの目的だ。

 Tableau Prepはこれまで、「Project Maestro」と呼ぶプロジェクト名でβ版を提供してきた。β版の利用者は3000人に達しており、使いやすさで評価が高いという。「Excelユーザーが、ある週末にβ版を使ったら、この週末だけでExcelから完全に乗り換えた」(Beers氏)

簡便な操作でデータの汚れを修正

 Beers氏は、Tableau Prepを使ったデータクレンジングの様子を、実際にデモンストレーションしてみせた。データに問題がある、製品の出荷情報を記したローカルデータをクリーニングした。

 データが抱える問題の1つは、入力ミスによって出荷費用がマイナスになっているレコードがあること。問題点をクリックすると、実データのうち出荷費用の部分だけが見られる。実際のデータを見て確認しながら、エラー値を含んだデータレコードを簡単に消去できる。

 別の問題として、空輸や船便などの出荷方法の表現方法が、ファーストとファーストクラスなどで揺れている。ここで、手入力でファーストをファーストクラスに直すことができる。修正部分が大量にある場合は、発音が似ている単語を自動的にグループ化してまとめるといったこともできる。

 異なる2つのデータソースを1つにまとめることもできる。同じ項目でありながらデータソース間で項目名が「販売数」と「数量」などのように異なっている場合、これをドラッグアンドドロップ操作で1つの項目名にまとめることができる。また、データソースに製品名しか載っておらず製品IDが載っていない場合に、製品名と製品IDが載った外部データソースを取り込んで、反映させることもできる。

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