IDC Japanは4月26日、2017年の国内インクジェット市場実績を発表した。これによると、国内のインクジェット製品の総出荷台数は前年比1.5%減の436万3000台となった。
インクジェット製品の年間総出荷台数は2013年以降5年連続で減少している。2017年の総出荷台数の内訳は、インクジェットプリンタが前年比3.0%減の62万台で、インクジェット複合機(MFP)が同1.3%減の374万台だった。
IDC Japanによると、2017年には消費者向け製品の出荷台数が総出荷台数の90.0%(2016年は89.8%)を占めた。法人向け製品の出荷台数は2016年には前年より増加していたが、2017年は同3.5%減の43万7000台だった。
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国内における消費者/法人向けインクジェット製品の年間出荷台数:2013~2017年
(出典:IDC Japan)
消費者向けインクジェット製品の主な印刷用途の一つは年賀状だという。IDC Japanが行った調査「2018年 国内プリント環境エンドユーザー調査:デジタルネイティブ世代のプリント意識」では、20歳~69歳の回答者の半数以上が主な印刷用途として年賀状を回答。他方、「IDC Survey Spotlight:2018年 国内プリント環境エンドユーザー調査-デジタルネイティブ世代のプリント意識」では、2019年以降の年賀状送付枚数について、デジタルネイティブ世代(20歳~35歳)を含む全ての世代で「なくなる/減る」と考えている回答者の比率が高かった。
しかし、デジタルネイティブ世代のうち、特に20代前半の回答者は今後送付枚数が増加すると考えている割合が他の世代よりも高かった。そのためIDC Japanでは、消費者市場におけるインクジェット製品の出荷台数は今後も減少を続けるものの、ある程度の台数で下げ止まると見ている。
一方、法人向けインクジェット製品では、低印刷コストや印刷速度などをアピールしてインクジェットによるビジネス文書のプリントの提案が行われたが、マイナス成長に転じた。ほとんどの事業所が既にプリンタやMFPを所有しているため、消費電力や印刷コストの低さだけではすぐに新しい製品を導入することにはつながらなかったとIDC Japanは指摘する。
また、オフィスで主に使用されているレーザー機器市場は2014年以降マイナス成長が続いており、オフィス市場におけるプリンタやMFPが減少傾向にあることも影響しているという。法人向けインクジェット製品のベンダーについてIDC Japanは、低消費電力やシンプルな構造のためメンテナンスが容易といった特徴を訴求するなど今までとは異なるマーケティング活動を行う必要性があるとしている。
インクジェット製品の企業別出荷台数シェアでは、エプソンが首位。これにキヤノン、ブラザーが続き、2016年と同じ結果となった。一方、出荷台数シェアの前年比では、エプソンが0.8ポイントシェアを落としたのに対し、キヤノンが0.4ポイントシェアを伸ばしている。
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国内インクジェット製品の2017年企業別出荷台数シェア
(出典:IDC Japan)