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認証での開発者の“苦悩”を引け受ける--オースゼロのペースCEO

國谷武史 (編集部)

2018-05-10 06:00

 ウェブサービスにおけるソーシャルログイン機能をはじめ、現在の認証では異なるIDの連携や複数の認証方法への対応が身近になりつつある。こうしたID認証基盤を手がける米Auth0(オースゼロ)が、日本での事業展開を大幅に強化するという。

 Auth0は、2013年に米国シアトルで設立された非公開のベンチャー企業だが、既に世界70カ国以上で約3400社の顧客企業を抱え、ブエノスアイレスやロンドン、シドニー、東京に拠点を持つ。これまで計3回の投資ラウンドを通じて合計5500万ドルの資金を調達、2017年のシリーズ3では、日本からNTTドコモ・ベンチャーズの出資を得た。


Auth0 共同設立者兼最高経営責任者のEugenio Pace氏

 共同設立者兼最高経営責任者(CEO)のEugenio Pace氏は、「IDと認証はあまりに複雑で開発者を悩ませる。われわれがその部分を引き受け、開発者が本来の仕事に専念して迅速なサービスの開発と提供に取り組めるようにするのが、ミッションだ」と言い切る。

 Pace氏は、2012年までMicrosoftに在籍し、10年以上に渡って同社のクラウドサービスにおけるID管理やアクセス制御のテクノロジ開発を担当。「エンドユーザーが目にするログイン画面は入口に過ぎないが、その裏側はあまりに複雑で私自身も大変な苦労を経験した。開発者は自分のサービス開発に集中したいのが本音だ。それなら大変な認証の仕組みを代わりに提供したいと考えたのが起業した理由だ」(Pace氏)

 Pace氏は自身のこうした経験を踏まえ、Auth0では、SAMLなどの業界標準の認証連携プロトコル、Active DirectoryやLDAPといったエンタープライズ基盤をサポートし、ソーシャルプロバイダーとの連携やモバイルを含む各種開発環境向けの数十種類に及ぶSDKやAPIを提供している。これらは、開発者が既存のID認証基盤に容易に組み込めるためのものだと、Pace氏は話す。

 「われわれのユニークな点は、B to CあるいはB to Bに偏らず、社内向けを含むハイブリットな基盤を実現できるところにある」とPace氏。2017年4月時点ながら、同社の仕組みによって外部向けや内部向けの異なる基盤をハイブリット型で統合運用するユーザーは、顧客全体の約4割を占めるという。

 グローバル顧客としては、オンラインコラボレーションツールを展開するオーストラリアのAtlassianやMicrosoft、AMD、NVIDIAなどのほか、金融やメディア、製造、エネルギーなど他業種にわたる。国内では企業名は明かせないとしつつ、保険、放送、オンラインゲームなどの企業が導入済みとしている。

 日本へは2016年に進出し、現在はカントリーマネジャーの桑野祐一郎氏ら3人体制だが、今後は投資規模を倍増ペースで拡大する計画。「日本語でテクニカルサポートやトレーニング、セールス、マーケティングができる陣容にするのはもちろん、パートナーも獲得していきたい」(Pace氏)

 当面は、日本市場で事業展開するITベンダーの目安となる、グローバル売上の10%を日本が占めるようにすることが目標だとPace氏は話す。

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