ディー・エヌ・エー(DeNA)が生き残りをかけて、ビジネスとITで新しいことに取り組んでいるという。キーワードは「共創」だ。
「技術が進歩している。破壊されずに生き残るか、大きな危機感を感じている」ーーDeNAで経営企画本部 IT戦略部 部長を務める成田敏博氏は4月25日、都内でガートナー・ジャパンが開催した「ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント&データセンター サミット 2018」の基調講演でこう切り出した。
IT戦略部としてDeNAの全社システムの戦略立案、企画、構築、運用を見る立場にある成田氏はこの日、「次代を見据えるDeNAのIT戦略」と題して、ビジネスとコーポレート(IT)の2つの領域での取り組みを紹介した。
AIを長期ビジョンに据える
ソーシャルゲームで知られるDeNAだが、2017年より会社のビジョンにAIが入った。成田氏は”インターネットやAIを活用し、世の中にデライトを届ける”という新しいビジョンを紹介しながら、AIを事業のエンジンとして活用していく、驚きや喜びを意味する”デライト”を通じて本質的な価値を与えることを大切にしている、とDeNAの経営指針を説明した。
DeNAは、インターネットとAIという「技術力」、パートナー、さまざまな事業を構築、進化させる「事業化能力」の3つを自社の強みとしており、「この3つの強みを持って、さまざまな事業を構築する」と成田氏は述べる。
AIを進めるにあたって、DeNAではバックオフィスを担当するIT戦略部に加えて2016年にAIシステム部を立ち上げた。ここではAIシステム技術の開発、AIを活用したサービスの提供、AIで必要になるデータ分析の基盤技術の提供などを行なっている。さらに、AI戦略推進室として、AIを活用してどのようなことができるのかをビジネスの視点で見るチームも新設。AIシステム部がデータサイエンティスト、AIエンジニアなどで構成されるのに対し、AI戦略推進室はビジネス担当者が中心で、何かを進める時にどの企業や団体と協業するのかをはじめパートナーとの事業創出を推進する。
DeNAではAI施策を推進するためにAIシステム部、AI戦略推進室を新たに設定した。
ビジネス領域では、国土交通省などと進めているという自動運転バス「Robot Shuttle」、ヤマト運輸と組んだ次世代配送サービス「ロボネコヤマト」、日産自動車との次世代交通サービス「Easy Ride」などの取り組みを紹介した。創薬分野でも、専門家の実験部分に機械学習を利用することで高速化するAI創薬の実証実験を塩野義製薬、旭化成ファーマと進めている。
ヤマト運輸と進める”ロボネコヤマト”は4月24日、ドライバーレス(レベル4)の実証実験を始めたところだ。
球団やランニングクラブを有することから、スポーツでもVRを使って打者がシミュレーションをするなど、技術を使ってアスリートのパフォーマンスを支援する取り組みがあるという。