さらに、須崎市では、ご当地キャラクターである「しんじょう君」からの情報発信にも、デルとインテルが提供する最新デバイスを活用する予定だ。
2016年に開催された「ゆるキャラグランプリ2016」で優勝しているしんじょう君は、「年間50回を超える県内、県外への出張があり、これまでのIT環境では、発信できる情報に限界があった。今後、2-in-1パソコンを利用して、職場と同じ環境で、効果的な情報発信を行うことができる。どんな場所からも、須崎市に関する情報を発信できる」としている。
須崎市では、こうした取り組みを通じて、「すさきがすきさ産業振興計画」で掲げた目標達成につなげる考えだ。
具体的には、現在、Twitterのフォロワー数で6万人、Facebookの「いいね!」では8000件、ブログは年間100万PVの実績を持っているが、情報発信をさらに強化することで、2019年度には、Twitterのフォロワー数では10万人、Facebookの「いいね!」では1万7000件、ブログでは年間250万PVを目標にしている。
また、「須崎アンバサダー」では、2-in-1パソコンを活用して、海外のファンづくりを進めるとともに、外国人観光客の増加につなげる考えで、2019年3月までに、須崎アンバサダーを3カ国10人以上に増員。現在、500人程度の年間外国人観光客を、2026年3月には、同市の人口と同程度となる2万人にまで拡大する。そのほか、2017年度に11億円だったふるさと納税を、2019年度には20億円に拡大。移住では、2019年度までに、移住者数で20家族40人、移住の相談受付件数で160件、ホームページの閲覧数で15万PVを目指す。
デル 常務執行役員 クライアント・ソリューションズ統括本部長の山田千代子氏は、「2-in-1パソコンなどを利用することで、もっとデータが活用できるようになる。例えば、ふるさと納税においては、データを解析して、売れる商品の調達を増やし、売り切れをなくしたり、書面でお礼を郵送するのではなく、メールなどを活用することで、ホームページに誘導しやすく、サイトでのさらなる購入を促すといったことも可能になる。ITを使って、データを分析することで、備えたり、攻めたりができる。ヒジネスの機会を生むことにもつなげてほしい」と須崎市での活用に期待した。
フランスと結んでSkypeを行っている様子
なお、先行した福井県鯖江市との協業成果については、「毎年4月には、必ず人口が減っていたものが、初めて増加に転じたという報告があった。東京に本社を持つ企業が、鯖江市内の空き屋を利用して、デザイン部門がリモートオフィスとして活用したりといった例も出ている。また、テレビ会議システムを、主婦が使いこなして情報交換をするといった成果も挙がっている」とした。
須崎市の楠瀬耕作市長は、「鯖江市のように、人口増加につなげるという点では、まだ土台づくりが進んでいない。だが、デルとインテルという世界的な企業との協業によって、市役所のなかの働き方改革や町づくり、本格的な教育ICTへの取り組みといった点での効果を期待している」と語った。
2-in-1パソコンを使って返礼品に関する情をタイムリーに発信する。
須崎市は、人口減少や産業縮小といった課題のほか、東日本大震災において、唯一、西日本エリアで被災し、南海地震や津波への防災対策を進めなくてはならないという課題も持つ。そして、「全国トップクラスの財政難の自治体」(同市)という状況にある。すさきがすきさ産業振興計画では、12分野56項目において、数値目標を設定し、限られた資源を最大限に生かしながら、産学官が一体となって、効率的で、時代にあわせた働き方改革に取り組んでいる。
今回のデルおよびインテルとの協業が、すさきがすきさ産業振興計画で打ち出した目標の達成を現実的なものにするとともに、町の活性化につなげることが期待されている。
奥に立っているのが土佐龍の池龍昇社長