結論から述べよう。あらゆるLinuxディストリビューションの中で、最も人気があるのは「Android」だ。ただし、それ以外にも語るべきことはある。
まずStatCounterによれば、そもそもAndroidは、すべてのOSの中で最も人気がある存在だ。個人向けデバイス用OSの世界的なシェアで見ると、Androidのシェアは39.59%で、36.51%のWindowsを上回った。Windowsもよく健闘してきたが、スマートフォン市場でうまくいかず、PC市場も斜陽になっている今、全盛期は過ぎたと言っていいだろう。
しかし、Androidを別にすれば、最も人気があるLinuxは何だろうか。それを導き出すのは不可能だ。StatCounterやNetMarketShare、米連邦政府のDigital Analytics Program(DAP)などのウェブベースの分析ツールでは、「Fedora」と「openSUSE」、「Ubuntu」の違いは分からない。
ただしDAPは、ほかのサイトにはない示唆に富んだ数字を1つ提供している。Androidには遠く及ばないが、2018年4月時点では、あらゆるLinuxベースのデスクトップの中で、最も人気があるのは「Chrome OS」であることが分かっている。エンドユーザーのシェアで見ると、Chrome OSは1.3%なのに対して、ほかのLinuxデスクトップは0.6%だ。
一方、多くの人が「Linuxディストリビューション」だと認識しているものに関する最もよいデータは、DistroWatchの「ページ閲覧数」ランキングだろう。DistroWatchは、デスクトップLinuxのユーザーに関する情報やニュースに関する、最も包括的なサイトだ。
しかし、この数字をあまり重視するわけにはいかない。DistroWatchのサイト管理者自身が、「DistroWatchのページ閲覧数ランキングの統計は、このサイトの訪問者の間で、どのLinuxディストリビューションやその他のフリーOSが人気があるかを調べる簡易的な手段だ。その数字は利用頻度や品質とは関係がなく、ディストリビューションの市場シェアとして使うべきではない。これらは単に、DistroWatch.comの各ディストリビューションのページが1日に何回アクセスされたかを示すもので、それ以上のものではない」と述べている。
ただしDistroWatchは、不正行為によって、お気に入りのディストリビューションをランクインさせようとするユーザーがいることを認識している。このため現在では、ディストリビューションの個別ページにはカウンターが表示されておらず、すべてのアクセスが記録され、同じIPアドレスからのアクセスは1日に1回しかカウントされないようになっている。
それを念頭に読んでほしいのだが、筆者が気に入っているデスクトップLinuxである「Linux Mint」は、最近「Manjaro Linux」にDistroWatchの首位を追われてしまった。
知らない人向けに説明すると、Manjaro Linuxは「Arch Linux」をベースにしたLinuxだ。Arch Linuxにもファンはいるが、一部ではインストールが難しいディストリビューションだと見られている。一方、Manjaroはインストールも運用も簡単だと評価されているようだ。Manjaroはシンプルで高速なデスクトップ「Xfce」を使っているため、古いハードウェアでも軽快に動作する。筆者も近々試してみるつもりだ。