米ZDNet編集長Larryの独り言

CRM分野でセールスフォースに挑む?--SAPの野心と現実 - (page 2)

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-05-14 06:30

 このCRM計画は確かに野心的だが、少し曖昧な部分もある。McDermott氏はその点について少し踏み込んで語っている。

 CRMに関連するわれわれの認識では、顧客はバリューチェーン全体を連携させる必要性を心の底から感じている。プロセスの設計はどうすればよいのだろうか?また、消費者の単一視点に立って実装し、経済価値や顧客満足度、ロイヤリティを向上させるにはどうすればよいのだろうか?さらに、本当の意味での調達、つまり、適切な製品を適切な価格で、顧客のいる場所であればどこにでも、そして頻繁に移動する顧客の存在も考慮した上で調達するにはどうすればよいのだろうか?顧客が、新しく、極めて革新的な方法で、ソーシャルメディアにおけるIoT的な観点から実際に連携しあっている場合もしばしばある。また、大手企業はこれらの点をすべて満足させることに苦労しており、レガシーCRMプラットフォームでは目的を果たせないのは明らかだ。これが、M&Aを重ねてもまったく意味が無い場合でさえも、さらに多くのM&Aを軸にした戦略が立てられている理由だ。というのも、そうした企業は、統合基幹業務システム(ERP)を有していない上、こういった複雑さすべてをつなぎ合わせるための何らかの方法論を考え出す必要に迫られているためだ。ここで、われわれの出番がやってくる。これは当社が実に得意としている分野だ。つまり、われわれは業界とクラウドを活用することで、消費者からサプライチェーンに至るまでのバリューチェーン全体を、シームレスかつ統合されたプロセスによってつなげていく。また、ディープラーニングを利用した人工知能(AI)やIoT、ブロックチェーンをアプリケーションに組み込むことで、顧客がこのイノベーションを購入後すぐさま活用できるようにもしている。まもなくブランディングキャンペーンを開始する予定であり、SAPPHIRE初日の基調講演で大々的に発表する予定だ。

 McDermott氏がSalesforceのMuleSoft買収を意識して語っていたのは明らかだ。そして、ERPという観点におけるSalesforceの話は的を射ていた(少なくとも、同社がFinancialForceを買収したり、あるいはおそらくWorkdayを買収したりするまでは的を射ていると言えるだろう)。

 しかし、最終的にSAPのCRM戦略は価格に関するものになる可能性がある。McDermott氏は以下のように述べた。

 最近実施した、ある企業のCEOと幹部チームとの顧客ミーティングでは、「値上げを実施された。小さなものも含め、考えられるありとあらゆるアプリケーションが値上げされた結果、18カ月前と比べるとCRM資産にかかるコストが65%膨らんだものの、その価値は見えてこない」といった話が出てきた。

 私は、そうした価値の一部はSAPのベース自体へのアップグレードでもたらされると考えている。また別の一部は、まったく新たな形でもたらされると考えている。というのも、インテリジェントな企業とエンドツーエンドということを考えた場合、まったく新たな考え方が生み出されるためだ。さらに、一部に置き換えが発生するのは明らかであり、その際には顧客に対して、適切にマーケティングされ、適切に投資された代替案が提供され、結果的に選択肢が与えられる。

 McDermott氏はここでも的を射た指摘をしている。Salesforce向けアドオンの価格リストは極めて広範な品ぞろえとなっている。

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