松岡功の「今週の明言」

レッドハット社長が説く「オープンソースウェイ」

松岡功

2018-05-02 10:30

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、レッドハットの望月弘一 代表取締役社長と、ダッソー・システムズの山賀裕二 代表取締役社長の発言を紹介する。

「オープンソースウェイで日本のビジネスを元気にしたい」
(レッドハット 望月弘一 代表取締役社長)


レッドハットの望月弘一 代表取締役社長

 レッドハットが先頃、2019年度(2019年2月期)の事業戦略について記者説明会を開いた。望月氏の冒頭の発言はその会見で、2019年度のビジネスに向けたビジョンを示したものである。

 米Red Hatが先頃発表した2018年度(2018年2月期)決算によると、売上高は前年度比21%増の29億ドルで、16年連続の伸長を記録。売上高の67%を占めるインフラ関連製品は同15%増だったものの、21%を占めるアプリケーション開発・新興テクノロジ製品が同42%増、12%を占めるトレーニング・サービスが同25%増と伸長率を押し上げた。

 望月氏によると、日本だけの業績は非公開だが、OSの「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」に続く戦略商品として注力しているクラウド基盤構築ツール「Red Hat OpenStack Platform」とコンテナ基盤構築ツール「Red Hat OpenShift Container Platform」を合わせた売り上げの伸長率が前年度比2.5倍になるなど、国内の業績も好調に推移したという。

 2019年度の事業戦略については関連記事をご覧いただくとして、ここでは望月氏の冒頭の発言にしたい。同氏は事業戦略の説明の前に、図を示しながら同社の存在意義を強調するようにこう話した。


図:レッドハットが示したビジネスにおける理念

 「当社がこれまで長年にわたって成長し続けてきた源泉には、テクノロジやビジネスニーズからなる“カスタマーニーズ”を的確に把握して対応する努力を重ねてきたことと、オープンな文化やプロセスからなる“カルチャーベースド・アドバンテージ”、いわば特有のDNAを育んできたことがある」

 その上で、そうした同社ならではの“オープンソースウェイ”のもと、2019年度のビジョンとして「オープンソースウェイで日本のビジネスを元気にする」、さらにミッションとして「グローバルな競争力の強化に向けて、日本が誇るクオリティでデジタルトランスフォーメーションを加速する革新的パートナーとなる」ことを掲げた。

 同社は2019年度の事業戦略として、「オープンハイブリッドクラウド〜クラウドの選択に自由を」をテーマとし、ハイブリッドクラウド基盤としてOpenStack Platform、クラウドネイティブアプリケーション基盤としてOpenShift Container Platform、クラウドに対応した管理と自動化に向けて「Red Hat Ansible Automation」を前面に押し出していく構えだが、その理念となるビジョンやミッションを明らかにしたのは、筆者の記憶では今回が初めてだ。この姿勢には大いにエールを送りたい。

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