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Dell Technologies World

データアナリティクスは製品、人、プロセス、ビジネスを変えるーーMcLarenのCOO

末岡洋子

2018-05-07 08:12

 F1で知られるMcLaren Technology Group、”コネクテッドカー”という言葉が登場する前からF1のレーシングカーはセンサを装着しており、データを分析してきた。長期的には自社の事業は「テクノロジービジネス」と見ており、これまで培った技術やノウハウを提供するビジネスモデルを作っている。

 Dell Technologiesが5月3日まで米ラスベガスで開催した年次イベント「Dell Technologies World 2018」で、McLaren Technology Groupの最高執行責任者(COO)、Jonathan Neale氏がデータの取り組みを中心に語った。


McLaren Technology GroupのJonathan 氏(左)とDell TechnologiesのJeff Clarke氏(右)

「我々はレーサー」――自社のコアを語る

 McLarenとDell Technologiesは2月初め、Dell TechnologiesがMcLarenのテクノロジーパートナーとなることで合意したことを発表した。McLarenは既にDellのPC、サーバを導入していたが、今回の提携により、Dellは車のデザイン、製造、オペレーションとさまざまな領域で技術を提供することになっている。同時に、DellのロゴがMcLarenのF1レーシングカーやドライバーのウェアに配置される。

 Dell Technologiesのバイスチェアマンでプロダクトとオペレーションを担当するJeff Clarke氏の基調講演にゲストとして招かれたNeale氏は、McLarenにはF1、それにスポーツカー、Applied Technologyの3種類のビジネスがあると説明する。「中核にあるのは、McLarenはレーサーであるということ。これが組織の血統となっている」とNeale氏はいう。

 テーマであるデータの取り組みについて、Neale氏は、多数のセンサを利用してレース、車や製品の開発などに役立てていると述べる。「データをクラウドに保存し、それを取り出して再利用している。土台には、シミュレーションとアナリティクスのための技術を構築している」とNeale氏。

データアナリティクスが変えたこと

 データアナリティクスは、製品、プロセス、人、ビジネスの4つの側面を変えていると語る。

 製品では、Naele氏がMcLarenに入った約20年前と比較すると、レーシング関連の製品は大きく変化しているという。「大規模なセンサーペイロードがある」とNaele氏、データはマシンからリアルタイムで毎秒4ビットで送られ(規制により、利用できる帯域に制限があるとのこと)、1万7000以上のパラメータを使って分析する。このうち約200のパラメータはリアルタイムでデータを測定し、残りはその後に処理する。ドライバー、エンジニア、メカニクス担当などはそれぞれの受け持つ分野をリアルタイムでモニタリングしており、意思決定を行うのに必要なデータが流れる分散型の意思決定システムを構築している。

 Neale氏はこれを「(緊急度に合わせて優先的に対応する)トリアージ」に例える。「重要な意思決定を1分~1分半でしなければならない。フラッグやアラートが本物なのか、エンジニアリングのレベルなのか、上位の意思決定レベルに上げるのかを決定する必要がある」とNeale氏、スピードはさらに早くなっており、「中央のコマンドセンターからビジネスをするという時代は終わった。分散型意思決定のために、データを動かし、担当者がリアルタイムで重要な意思決定をしている」と続ける。その結果、McLarenのビジネス、それにビジネスモデルは変わったと述べる。

 プロセスでは、車のコンセプト、デザイン、製造と6~8週間でリニアに進めるプロセスだったが、「クローズドなループではなかった」という。車のパーツは約1万3500種類にも及び、エンジニア工程での変更のために毎週5000ものパーツが必要だったとNeale氏。同社は過去5年で4~5億ドルをシャーシとエンジニアリングの研究開発に投資したという。

 現在は「リニアではなく、チーム全体がリアルタイムで動いている」という。リアルタイムの製品エンジニアリングだ。例えば約20年前には、製品に入れるパーツのうち80%がドライバーによる評価を受けていた。ドライバーの判断が正しいことを信じるしかなかったが、現在はエンジニアがパーツを評価でき、95~96%の成功率に達しているという。

 人の変化も大きい。以前は経験あるレースエンジニアと言われるまでに30年と言われていたが、現在は多くの意思決定にAIを導入しているとのことだ。少し前まで意思決定に重要な役割を任されていたデータアナリストは現在、データが不完全、時間がないなどの時にデータを利用した意思決定を支援しているという。

 このような変化を説明しながら、「(データ主導となることで)ビジネストランスフォーメーションになっている」とNeale氏はいう。

 McLarenはF1を通じてセンサ、エッジコンピューティング、テレメトリ、データディストリビューション、データの安全・暗号化などの専門知識を蓄積してきた。今後はこれを他の分野にも活用する。

 スポーツカー事業の成功についても、「自分たちの技術を適切に使っているから市場に受け入れられた。我々のコミットはモデリングとシミュレーション。問題解決に多くの時間を割いている」とNeale氏はいう。

 他の事業にもノウハウを応用する。既に英国では子供病院でテレメトリと動画システムを使って、病院に運ばれる途中での処置や対応を支援する仕組みを開発しているという。また、自動運転カーについても、自動運転カーそのものではなく、ベースとなる安全のためのソフトウェアセンサ、アクチュエータなどの技術供給の可能性を見ているとのことだ。

 Neale氏は長期的な自社の姿として、「われわれのビジネスはテクノロジ事業だと考えている。市場の変化に合わせて技術を提供する」と述べた。

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