海外コメンタリー

BoxのレヴィCEOが今、考えていること(後編)--デジタル変革のあり方 - (page 3)

Michael Krigsman (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-05-25 06:30

——あなたは「デジタル変革」という言葉を使いませんでしたが、何か理由があるのでしょうか?

 いいえ。その単語を使わなくても言葉を十分に重ねた説明になっていたと感じたためです。

 私はさらなる言葉を追加したくなかったのです。私が主張していたことはすべて、人々がデジタル変革という言葉で述べようとしていたことだと考えています。ただ私は、デジタル変革という言葉がしばしば「なるほど、この最新モバイルアプリが必要だ。私のビジネスには『Uber』や『Airbnb』が必要だ」という考えに結びついてしまう点が問題なのだと考えています。これらがデジタル変革の必然的な結果になる場合も多いのですが、そのような結果に至る道は単にアプリを開発したり、ビジネスのためにAirbnbを作り出すことではなく、デジタルイノベーションを効果的に起こせるようなデジタル企業について考えを思い巡らせることなのです。

 こういったことを考えるうえでのデジタル企業、このようなケースで私が思い浮かべるのは世界のAirbnbや世界のSpotifyといったデジタル企業なのですが、そうした企業での運営を考えます。ただ、これがある面においてステレオタイプであるのは明らかです。たいていの場合は、さらなる知識の共有や、より機敏な対応、特定分野におけるより小規模なチームでの作業といった形態を採り、よりフラットなかたちでの運営となっています。これはさまざまな意味合いにおいて、われわれがソフトウェアを開発する方法、すなわち小規模チームでプロジェクトを推進していくという形態を採るため、多くの場合にデジタル企業を成功に導く要因となるのです。

 この種のさざ波が文化を揺るがせています。これを、あらゆるものが手の届く場所に存在するという、ソフトウェア開発におけるGitHubの考え方と分けて考えるのは難しいでしょう。今までに起こった変化はすべて、ソフトウェア組織が期待する文化、つまりすべてを見通したいという観点から捉えられます。私は最善の意思決定を行えるよう、あるいはその意思決定に至った経緯をすべて見通すことができるよう、すべての情報にアクセスしたいのです。

 これらの文化、すなわちソフトウェアの文化、デジタル開発の文化を、企業が現在のスピードを落とさずに運営していくための方法論から分け隔てることはできません。つまり私は、次の疑問に答えずしてデジタル変革は成し遂げられないだろうと考えているのです。その疑問とは、職場はどのように機能していくのか、業務モデルはどのように変化していくのか、ベースとなる業務プロセスはその変革にどのように関連付けられていくのかというものです。われわれは多くの時間をかけてこういった疑問を考えてきているのです。

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