海外コメンタリー

BoxのレヴィCEOが今、考えていること(後編)--デジタル変革のあり方 - (page 5)

Michael Krigsman (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-05-25 06:30

 この点において、現在開発されているコードや機能には着目していません。ともに作業する企業における原則を探し求めているのです。エコシステム中のバリューチェーンにおける位置付けに目を向けているのです。彼らはプラットフォームに中立なベンダーになるのでしょうか、それとも自社ですべてのテクノロジを作り上げようとしているのでしょうか?彼らはオープンシステムとクローズシステムをどのように評価しているのでしょうか?彼らが現時点で作り上げたテクノロジとともに、一緒に仕事をしている彼らの組織哲学も理解しておくべきでしょう。

 IT組織からは、こういった声が十分に聞こえてきません。これは大きな間違いだと考えています。理由は、多くのIT組織が短期的な視点で意思決定を行うがゆえに、その意思決定があっという間に自社のITアーキテクチャに負債として埋め込まれるためです。その理由はおそらく、今日のRFPを今満足できるベンダーと組んでいたとしても、本質的に組織の価値、あるいは該当テクノロジのアーキテクチャの軌跡が明らかに頭打ちとなる結果、該当イノベーションの軌跡も自然と頭打ちになるためです。

 できるだけ現実に即した例を挙げてみましょう。4〜5年前にわれわれは、多くの顧客が「ファイルの共有と、それに基づいたコラボレーションを実現したいのですが、とあるストレージテクノロジに対する投資を既に行っているため、その既存テクノロジを活用しなければならないのです。つまり、その既存テクノロジと連携するソフトウェアを実装するしか方法がないのです」と述べるのを見聞きしていました。

 こういった場合、われわれは顧客に対して「そのようにすると、実装しようとしているソフトウェアは、現在のイノベーションのままで凍結されることになると認識する必要があります」と告げていました。今はまさに、絶え間ない変化が、特にクラウドで起こっている時期なのです。セキュリティの変化があります。コンプライアンスの変化があります。プライバシーの変化があります。MLの変化があります。既に導入済みのストレージテクノロジを活用できるのはメリットかもしれませんが、実際のところはその意思決定を下した瞬間から、イノベーションによって生み出されるメリットを凍結し、毎週のように生み出されるイノベーションによるメリットを享受できなくなるのです。

 今から言う内容は、当然われわれ(の手がけるテクノロジ)に当てはまるのですが、あらゆるカテゴリのテクノロジにも当てはまります。イノベーションの軌跡を見定めるとともに、イノベーションの向かう先がどこなのかについてしっかりと考えることが重要なのです。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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