海外コメンタリー

AIは"アルファトレンド"--アクセンチュアCTOが語る機械と人の未来

Michael Krigsman (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-05-18 06:30

 人工知能(AI)に関して一般に交わされている議論は、大きく2つに分かれる。1つは、AIの危険と野放図な技術開発が人類に与えるリスクについて語るグループだ。一方、もう1つのグループは、AIと機械学習は人間が抱えるあらゆる問題を解決する万能薬として捉えている。

 残念ながら、これらのAIに対する極端な意見は、よりまっとうな議論を埋もれさせてしまう傾向がある。

 Accentureの最高技術責任者(CTO)兼最高イノベーション責任者(CIO)Paul Daugherty氏は、そうしたまっとうな議論をしている人物の1人だ。同氏の新著「Human + Machine: Reimagining Work in the Age of AI」では、充実した調査と、世界でも最大級の企業であるAccentureの幹部としての経験に基づいて、ビジネスでのAI利用について議論している。Accentureは従業員43万5000人、売上高350億ドル超の巨大企業だ。Daugherty氏は、同社の最高経営責任者(CEO)Pierre Nanterme氏を直属の上司としている。

 筆者は、同氏が持つ独自の立ち位置からの意見について話してもらうため、ニューヨーク市にあるコグニティブテクノロジ企業IPsoftのAI体験ラボ、Amelia Cityで開催された、「CXOTalk」のイベントにDaugherty氏を招待した。この新しいCXOTalkシリーズは、ニューヨークの聴衆の前に卓越した企業幹部を招いて、詳しく話を聞く企画だ。

 今回の議論では、人間とコンピュータの関係性が焦点となった。これは、Daugherty氏の著書のテーマでもある。人工知能(AI)は、コンピューティングパワー、データ、アルゴリスムの組み合わせによって現実のものになったが、そこから価値が生まれるのは、AIが現実の人間のニーズを満たす場合だけだ。

 AIは人間が抱えている幅広い分野の問題を解決できるが、そこでは倫理面でのガバナンスや監督も必要になる。AIは高い柔軟性を持っており、大きな潜在的可能性を秘めているが、偏見を排した懐疑主義的議論を行うことで、不合理な否定や過剰な期待のような極端な態度を避けることができる。

 本記事では、Daugherty氏に対する興味深いインタビューの要点をお届けする。

--AIに対する過剰な期待と現実の間にギャップがあるのはなぜでしょうか。

 Paul Daugherty氏:私は、人工知能はアルファトレンドだと言っています。アルファトレンドとは、ほかのトレンドを動かす原動力となり、ほかのテクノロジの流れを形作るトレンドです。人工知能に対する期待は確かに過剰ですが、その過剰な期待の背景には、非常に大きな潜在的可能性と、事実である部分があるとも考えています。だからこそ、この種の議論を行うことが大切になります。事実と過剰な期待のギャップについて議論し、この2つを分けて考えることが重要です。

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