--企業組織のコンセプトの再構築はどのようなものになるのでしょうか。
Daugherty氏:われわれは、現在起こっている第3世代の働き方、あるいは第3世代のビジネスのあり方について議論しています。第1世代はHenry Ford氏(米国の自動車会社Fordの創業者)やFrederick Taylor氏(科学的管理法を発案した経営学者)です。彼らが生み出した科学的管理法や組立ライン工程では、人間の手による作業とオートメーションを組み合わせていました。これは約100年前のことです。
その後、20世紀末の1990年代に、ビジネスプロセスリエンジニアリングが起きました。このときにも、人間はプロセスの一部であり、リエンジニアリングされるプロセスのフローチャートには人間が書かれ、人間の知恵や知識はプロセスの一部を構成していました。これが第2世代です。
今回の第3世代で再構築されるのは、人間ではなく、第1世代と第2世代に共通して存在していた、人間が行っていた静的なプロセスや逐次的なプロセスです。これは、創造性と共感する能力を持つ人間の能力とどう関わるかという問題であり、従来とはまったく異なる形で、人間の能力とテクノロジの力を、どう即興で組み合わせて使っていくかという問題です。これによって、第3世代の労働のあり方が可能になり、働き方のコンセプトが再構築されます。ビジネスの構造は、より素早く、より柔軟で、より個人に合わせた、適応型のものになっていくでしょう。それが、企業が今つかもうとしている本当のチャンスです。
--著書のタイトルを「Human + Machine」にしたのはなぜですか。
Daugherty氏:優れたAccentureの同僚である共著者のJim Wilson氏は、Accentureのテクノロジに関する調査を指揮しています。2年ほど前に彼と話をしていたときに、われわれはこのミームが世の中を動かしていることに気づきました。それは、自動化とAIについての議論でした。一方には、ロボットは世界を乗っ取るという議論がありました。「ターミネーター」のようなシナリオです。もう一方には、自動化とAIがすべての人間を労働から解放し、人間は仕事をしなくてよくなるため、新しいレジャーのクラスを準備する必要があるかもしれないという議論もあり、その兆候もありました。
われわれは、そのどちらも本当になるとは思いませんでした。本当の力は、力を増幅するところにあると考えたのです。人間対機械であったり、人間と戦う機械であったり、人間の代わりになったり、人間を仕事から奪ったりというという議論は本流ではなく、人間と機械の組み合わせが、新たな、より人間らしい可能性を生み出してくれると考えました。第3世代についての話で出てきたように、これからは、人間の特性が大事になる、より人間らしい時代になるでしょう。
これは、テクノロジの使い方が変わるということであり、それがこの本を書いた理由です。「Human + Machine」では、この新たな組み合わせについて議論しています。もう1つ強調しておきたいのは、私はテクノロジが強力であるほど、そしてテクノロジが人間に近いものになるほど、人間の人間らしさを強調してくれると強く信じているということです。
ここはAmelia Cityです。人工知能プラットフォーム「Amelia」のような、人間らしいやり方で人間とコミュニケーションを取ることができ、人間がやっていることを理解し、感情的な知性や、感情的なAIコンポーネントまで持っているテクノロジがあれば強力です。そうなれば、人間は機械とより効果的にコミュニケーションを取れるようになります。それこそが、この本のタイトルや、この本で示した調査でわれわれが伝えようとした、人間プラス機械のあり方です。