実際、オートメーションの広がりによって生じる、労働、経済、社会福祉の混乱に対処可能な、現実的な青写真を持っている国は1つもなかった。
ただし一部の国は、他の国よりも準備が整っている。
具体的には、韓国、ドイツ、シンガポールは職業訓練プログラムに投資しているほか、STEAM教育(科学、技術、工学、芸術、数学に力を入れる教育方針)や優遇税制について検討しており、オートメーションがもたらす課題に対処することを視野に入れた改革を行っている。
当然ながら、これらの国々はABBの自動化準備指数で上位を占めている。
米国は総合点で9位にランクインした。また英国は8位に、オーストラリアは10位につけている(訳注:日本は4位)。
またレポートのほかの調査結果として、中所得国ではオートメーションの導入に困難を伴う可能性があることが明らかになった。
ホワイトペーパーでは、「南アジアおよび東南アジアの国々が、オートメーションの導入がもたらすチャンスを生かそうとする際には、それらの国々が持つ弱点の中でも、基礎的スキルの教育が不十分なことが大きな悪影響を与えるだろう」と説明されている。
また、教育政策を通じてオートメーションの影響に対処することを模索している国がほとんどないことも分かった。
レポートには、「インテリジェントなオートメーションは、STEM教育(科学、技術、工学、数学を重視する教育方針)と、労働者が人間特有の能力を生かすスキルである、いわゆるソフトスキルの両方に関する教育の重要性を高めると予想される」と書かれている。
世界的に見ても、公教育を通じて将来世代の労働者の準備を調える施策はほとんど実施されてない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。