サプライチェーンを改善したい、あるいは日常的な業務の可視性を向上させたいと考える企業であれば、デジタルツインが役に立つかもしれない。
モノのインターネット(IoT)のセンサ、エッジコンピューティング、無線技術の進歩によって、デジタルツインの概念は現実的なものになってきている。これには、経済的な面もさることながら、データの収集と分析が現実的になったことが大きく影響している。
デジタルツインは、物理的な資産のデジタル的な「双子」(複製)を作ることを中心とした概念だ。
1つの資産にだけ複製を作ってもそれほど意味はないかもしれないが、企業が持つあらゆる資産や機器のデジタル版を作成してデジタルツインを実現できれば、業務やサプライチェーンについて、アクションにつながる貴重な知見を得ることができる。
例えば、実験が目的であれば、物理的な機器を実際にいじり回すよりも、IoTセンサから得られた情報を利用して、実験に使える仮想的な複製を作れた方が便利だ。
デジタルツインを使えば、物理的なシステムに手を入れて、サプライチェーンに混乱や不具合が起きる危険を冒さなくても、(大きな投資をする前に)製品の運用や設計を改善したり、テストを行ったりする方法が見つかるかもしれない。
Gartnerによれば、すでにIoTを導入している大企業の48%は、すでにデジタルツインを利用しているか、2018年末までに利用し始める予定だという。
デジタルツインテクノロジの実現は小規模なプロジェクトではなく、高額になるかもしれない投資から十分なメリットが得られるかどうかを含めて、十分な検討を行う必要がある。ただし、Deloitteが発表した新しいレポートによれば、この技術は航空宇宙産業、小売業、医療業界など含むさまざまな業界に急速に広まっている。
「ますます多くの業界の企業が『デジタルツイン』を導入しており、風力発電タービンからスーパーマーケットの通路まで、複雑な製品や業務プロセスの設計や運用に幅広く利用されている」とレポートにはある。「デジタルツインは、製品やプロセスの開発を加速し、パフォーマンスを最適化し、予測的メンテナンスを可能にする」
レポートでは、2023年にはデジタルツインの世界的市場規模が160億ドル(約1兆7500億円)まで拡大し、この動きを支える技術(IoTや機械学習など)の導入事例も、2020年には倍近くになると予想している。