「企業は“従業員エクスペリエンス”への投資を強化せよ」
(日本オラクル 原智宏 執行役員)
日本オラクルの原智宏 執行役員
日本オラクルが先頃、人事管理に最新のITを活用した「HR(Human Resource)テック」への取り組みについて記者説明会を開いた。同社執行役員でクラウド・アプリケーション事業統括ソリューション・プロダクト本部長を務める原氏の冒頭の発言は、その会見で、従業員に“感動体験”を提供する「従業員エクスペリエンス」という考え方に言及したものである。
この会見では、米Oracleが今年3月に米ダラスで開催したHRテック分野のイベントで発表した内容を紹介。具体的には、人材管理SaaS「Oracle Human Capital Management(HCM)Cloud」において、人事担当者をこれまで以上に支援し、従業員の仕事環境をさらに向上させる目的で、AIを活用した新たな機能を追加したことを中心に説明した。
最新技術によって従業員とのエンゲージメントを強化し、採用業務をはじめとする人事業務の生産性を向上させるとともに、従業員は仕事で優れた成果を上げるために必要な情報に素早く、簡単にアクセスし入手できるようになるとしている。
会見の詳しい内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは、原氏の冒頭の発言に注目したい。
同氏によると、Oracleが3月に開いたイベントでは、「HRテックではこれまで従業員エンゲージメントが注目されてきたが、これを展開していく上で、企業は従業員に対してどのようなエクスペリエンスを提供していけばよいのか、を考えていく必要がある」との話が注目されたという。
米国での企業調査では、「従業員エクスペリエンスへ投資している企業は、従業員の生産性が高い」といった結果も。一方で、「従業員エクスペリエンスへ投資している企業は全体の6%」と、まだまだ割合が小さいことも指摘されたという。
この従業員エクスペリエンスとは、どういう要素から成り立つのか。原氏は図を示しながら、その構成要素は「カルチャー×テクノロジ×フィジカル・スペース」であると説明した。すなわち、企業文化とITと仕事環境である。
その上で、同氏は「日本の企業はまだまだITを有効活用できる余地があると考えている」として、HRテックの普及拡大に努めていく構えだ。
「従業員満足度」の重要性はかねて叫ばれてきたが、エクスペリエンスは満足度を向上させる手立てでもあるようだ。しかも、そこにAIが活用されるようになるという。どんな世界が広がっていくのか、注目しておきたい。
図:3つの要素からなる「従業員エクスペリエンス」