米国のテクノロジ企業は、人工知能(AI)を未知の領域に連れ出そうとしている。AIが持つ可能性は、社会への影響も含めてまだ見えてこないが、Donald Trump米政権は規制に対して自由放任的なアプローチをとる方針を示した。
米科学技術政策局(OSTP)の責任者を務めるMichael Kratsios氏は、米国時間5月10日、ホワイトハウスに集まったテクノロジリーダーやビジネスリーダーたちに対し、事前に用意した資料で「米国は今後も常に慎重にAIに取り組むが、国際舞台で米国の潜在能力を骨抜きにするようなことはしない」と述べた。
10日に開催されたAIに関するホワイトハウスでの会合には、Amazon、Facebook、Microsoft、Google、NVIDIA、Walmart、General Electric(GE)など約40社の代表が集まった。
「われわれの政権は、想像上の獣を制圧するようなことはしない。われわれは、存在しない問題の『解決』を試みるようなことはしない。(中略)(Thomas)Edisonが最初の電球を灯すよりも前に、われわれが煩雑な官僚主義を敷くことはなかった。Alexander Graham Bellが最初の電話をかけるよりも前に接続を規制することはなかった」(Kratsios氏)
Kratsios氏は、人命を救う医薬品をドローンが運ぶアフリカでの事例に触れ、「米国の高圧的な規制によって、ルワンダでは人命を救っているものが(米ノースカロライナ州の)ローリーでは禁止されている」と指摘した。
AIがもたらす米国へのマイナスの影響の1つは、労働者の失業とみられる。Barack Obama前政権は、すべての米国人がAIの恩恵を受けられるように「積極的」な公共政策を促していた。
Kratsios氏は、「ある程度までは雇用の置換もやむを得ない」と認めた。
「しかし、いずれは市場が解決してくれることを願って何もせずにいるわけにはいかない。われわれは、米国人が常にしてきたことをしなければならない。それは、適応することだ」(Kratsios氏)
Kratsios氏は規制緩和を約束する一方で、連邦政府として、「プライバシーやセキュリティを危険にさらさない方法で」連邦政府が持つデータへのアクセスを拡大させることにより、AIを発展させる業界の取り組みを支援できるとの提案も行った。
Kratsios氏はさらに、米国家科学技術会議の下にAIに関する特別委員会を新設して、ホワイトハウスに助言を行うとともに、政府全体のAIへの投資や研究活動の調整を支援すると発表した。この委員会は連邦政府が管轄する研究開発当局の高官らで構成される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。