人間と技術の関係が変わる--AIがITSMを変える
またAIでは、「Agent Workspace」「Virtual Agent」の2種類の新機能が発表された。
Agent Workspaceは、AIを利用したコマンドセンターで、「1年を待って発表にこぎつけた」(Desai氏)という思い入れのある機能だ。デモでは、ITヘルプデスクの担当者が、3ペインの画面を利用してイシューを効率よく管理する姿を見せた。チケットの内容が「iPhoneのVPN接続のやり方」に関するものであることが分かると、Agent Workspaceの「Agent Assit」が関連する記事やマニュアルを表示、添付をクリックしてユーザーに送り、解決するという内容だ。デモのように、ITヘルプデスク担当者は、入力作業を一切せず、クリック操作で問題解決にこぎつけることもできるという。

Agent Workspaceのデモ。右ペインにAgent Assistが問題解決の素材を提案している
Agent Workspaceは、2018年後半リリースの「London」で導入し、まずはITSM、CMS(カスタマーサービス管理)の機能となり、その後は人事など他の分野にも拡大する予定という。「ITサービス担当の生産性が上がると、ユーザーの満足度が上がり、IT全体が良くなる」と、Desai氏は重要性を強調した。
Virtual Agentはチャットボット技術で、5月に買収したばかりの自然言語処理技術ベンダーParlo.ioの技術を土台とした。ITSM、CSM、人事向けにそのまま使える会話が含まれているが、顧客は自社のボットをトレーニングしてさらに効率を上げることができる。
デモでは、在宅勤務の男性が古いPCを新しくするかm修理するためにServiceNowのチャットクライアントからIT担当者へ問い合わせ、モバイルインターフェースを介して新しいPCを発注し、その後に変更するまでを会話ベースで行った。チャットは、まずServiceNowのほか、Slack、Microsoft Teamsに対応し、今後も拡大を図る。同社では、Virtual Agentが15~20%のルーティン作業を処理できると予想している。Virtual Agentは、2018年後半のLondonリリースで盛り込まれる。

ServiceNowのチャットでVirtual Agentで会話しながらPCを注文する
また、パートナーとして登場したMicrosoftでMicrosoft Teams及びSkypeプロダクトマーケティング担当ゼネラルマネージャを務めるLori Wright氏は、Microsoft TeamsとServiceNowの統合を発表した。背景として、Microsoftの顧客からの要望が高かったという。2社はお互いの製品を使う顧客同士でもある。
Wright氏は、Microsoft TeamsがOffice 365向けグループチャット、通話、コラボレーションとして2017年に発表して以来、既に20万人が利用していることを明らかにした。Skype for Businessの75%がTeamsを使っており、2018年中に機能面で同等レベルにする。Officeを利用するSkype for Business顧客には、Teamsへの移行を促すということのようだ。

MicrosoftのLori Wright氏(左)とServiceNowのCJ Desai氏(右)
AI、モノのインターネット(IoT)などの技術キーワードとともに「第4次産業革命」と位置付けられる現在だが、仕事という点では、「人類の歴史上、初めて技術が人に仕える時代になる」とDesai氏は述べる。そして、「生活と仕事が大きく変わる。『人間であるとは何か』がますます重要になる」とし、ServiceNowは仕事の効率という面であらゆる役割の人を支える、と約束した。