企業におけるブロックチェーン技術の採用はわずか1%と伸び悩んでおり、最高技術責任者(CIO)の多くは同技術に対して関心が薄いようだ。
Gartnerの「2018 CIO Survey」によると、社内でブロックチェーン関連のプロジェクトやシステムを推進していると回答したCIOはわずか1%であり、ブロックチェーンに関する短期的な計画や実験の段階にあると回答したのはわずか8%だったという。
同調査では、企業として同技術にまったく興味を抱いていない、あるいは導入や開発に向けた計画がないと回答したCIOは77%に上っている。
分散台帳技術としても知られるブロックチェーンでは、タイムスタンプを付加した透明性の高いトランザクション記録をネットワークチェーン中の「ノード」(すなわちコンピュータ)に分散させることにより、記録の改ざんや悪用を極めて困難にしている。

提供:Gartner
ブロックチェーンへの取り組みは既に、IBMやMicrosoft、JPMorgan Chase、Visaをはじめとする数多くの企業で進められている。
ブロックチェーンには、国をまたがった決済や、資産売買にともなうスマートコントラクト、記録の確実な保管、医療記録、サプライチェーンの簡素化といったさまざまな可能性が秘められている。
GartnerのバイスプレジデントであるDavid Furlonger氏は「ブロックチェーンの真の姿と、それが現時点でできることと、将来的に企業や業界、社会をどのように変革するのかを対比して理解することが必要不可欠だ」と述べた。
しかしFurlonger氏は、どのような新技術であったとしても拙速で取り組めば時間や投資の無駄につながるリスクが常に存在するという点で、慎重を期す必要があるともアドバイスした。
適切な計画がなければ、本来であれば企業の業務と将来の展開に利益をもたらす可能性のある技術を放棄することにもなりかねない。
同調査によると、ブロックチェーン技術に興味を持つ293人のCIOのうち、分散型台帳プロジェクトの実装に必要なスキルを有した人材が不足しているため、ブロックチェーン技術は難題を抱えているとした回答が23%あったという。
さらに、調査回答者の13%にあたるCIOがIT部門の革新的な構造改革の必要性を訴えていた。
ブロックチェーンの実装では技術的な観点だけでなく、セキュリティや法律、価値交換、脱中央集権システムなど、従来の企業IT部門という枠組みに収まりきらないことも多い包括的なスキルが開発者に求められる。
Furlonger氏は「CIOが抱える難題には、適切な人材を探し出し、維持するだけでなく、ブロックチェーン開発の進展とともにリソースの成長に対応できるだけの十分な人材を確保するというものがある」と述べるとともに、「ブロックチェーンの開発者コミュニティーを構成する人材は、歴史的に自由主義者であり、一匹狼的な性質を備えているため、こういった誘いに慎重な態度を見せる可能性がある」と続けた。
とは言うものの、すべての業界がブロックチェーン技術に否定的というわけではない。
電気通信事業や保険、金融サービス関連の業界のCIOらは、ブロックチェーンの潜在能力について、他のほとんどの業界よりも強い興味を示している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。