シチズンデベロッパーがPDCAを回せばイノベーションが起こる
Lightning Platformは、Sales CloudやService Cloudに足りない機能をユーザーが独自に開発できるローコード/ノーコードプラットフォームだ。クリックやドラッグ&ドロップなどの簡単なマウス操作だけで業務アプリを作成できる。画面上にテーブルを作成し、連携させるオブジェクトをラインでつないだり、アクセスを制御したりするのも簡単だ。コードを書いて開発することも可能だ。もちろん、Sales CloudやService Cloudのデータともシームレスに連携できる。
業務アプリを一から作る場合でも、これまでの成功事例をもとにデザインパターンを提案するそうだ。その他には、スマートフォンアプリと同じような感覚で業務アプリを入手できるマーケットプレイスも用意している。「AppExchange」では、パートナー企業が作成したアプリやコンポーネントを入手できる。コンポーネントとは、アプリに機能を追加できるプラグインのようなもの。構築済みのコンポーネントを使用して、ドラッグ&ドロップによるアプリ作成に使用できる。
作成済みのアプリをカスタマイズするのも簡単だ。例えば、今後法律の改正などで消費税率が変わったり、新しくチェック項目が増えたりした場合、これまでだと開発会社に入ってもらってシステム改修を進めるのが当たり前だった。Lightning Platformであれば、担当者が自らの手で業務アプリをカスタマイズできるので、PDCAサイクルを素早く回せるというメリットがある。
「最近、シチズンデベロッパー(市民開発者)という言葉が出てきています。まさにそうした方々がLightning Platformを使うと、ビジネスにイノベーションを起こしやすいと考えています。マウス操作だけでアプリを作成できるため、ITの深い知識は要りません。社内の業務がどうなっているか、誰が何をすべきかという定義をきちんと分かっていれば、その会社だけの業務アプリを作れるのです」(伊藤氏)
クラウドサービスでのアプリ開発は、柔軟性に欠けるようなイメージもある。しかし、Lightning Platformは、細かい権限管理機能を備えており、承認プロセスを構築することも可能。モバイルサービスにも対応し、App StoreやGoogle Playからダウンロードするアプリを簡単に公開できる。外出先や出張先でもビジネスを円滑に進められるようになる。

マウス操作だけでオブジェクトを作成し、データモデルをカスタマイズできる

AppExchangeにはパートナーが開発したアプリやコンポーネントが多数公開されている
「自分でアプリが作れるといっても、システム開発会社の仕事がなくなるというわけではありません。運用や管理、カスタマイズといった部分は自社で対応し、ビジネスに直結する領域に対してはアウトソーシングするというイメージです」(伊藤氏)
既存システムとSalesforceとの連携やデータ移行に関しても、ある程度の知識が必要になるため、システム開発会社などに外注することが多いそうだ。

セールスフォースは多彩なパートナーとエコシステムを構築している