2018年5月9~11日まで、東京ビッグサイトで「2018 Japan IT Week 春」が開催された。国内最大規模のIT展示会で、「AI・業務自動化展」や「IoT/M2M展」「クラウドコンピューティングEXPO」をはじめ、13に及ぶテーマの展示会が同時に開かれた。今回は、その様子をレポートする。
国内最大規模のIT展示会である「2018 Japan IT Week 春」が開催された
急速に存在感を増す業務自動化ソリューション
Japan IT Week春は、リードエグジビジョンジャパンが主催するIT展示会で、2017年の実績では出展者数1551社、来場者数8万8725人という大規模なもの。2018年も、1830社(出展者リストからカウント)が出展し、雨の中多数の人が訪れていた。筆者は、中日の5月10日に取材に回った。AI・業務自動化展やIoT/M2M展、クラウドコンピューティングEXPOを中心に、面白そうな企業やプロダクトを紹介したい。
まずは、AI・業務自動化展。業務効率化や働き方改革に大きく寄与するホットな領域で、110社が出展している。勢いを感じたのは、RPA(Robotic Process Automation)と呼ばれる特定の操作をロボットで自動化するサービスだ。RPA市場は2017年から急激に成長しており、今後の普及が見込まれている。
NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)やNTTデータは純国産で高いシェアを誇る「WinActor」を展示していた。採用企業は1000社を突破している。ブースでは、年間600時間の削減になったという事例映像が流されていた。
訪れている人がブースの担当者を質問攻めにしているのだが、取材と異なり本当に導入を検討しているのが分かった。本展示会は商談の場としての意味合いが強く、展示側も参加者も熱意がすごい。
NTT-ATの純国産RPAツール「WinActor」
大きなブースで存在感を出していたのが、「HeartCore Robo」。導入には数百万円かかるのがざらというRPAだが、なんと「ワンコインRPAはじめました」というブースを出している。話を聞いたところ、500円で250ステップ~、最低2500ステップからの契約とのこと。それでも激安にもほどがある。しかも、実行ロボの作成初期費用無料キャンペーンまで行っている。盛り上がり始めたと思ったRPA市場だが、すでに価格破壊が起きつつあるようだ。
ハートコアの「HeartCore Robo」
RPAはほとんどがオンプレミス型だが、クラウド型のRPAサービスとなるのが「BizteX cobit」だ。基幹システムとつなげず、データ入力やデータ収集といった単純作業を代行してくれる。もちろん、価格も比較的安く、導入しやすいというメリットがある。価格が安ければ、クラウドタイプでも導入する企業が増えてくるかもしれない。今後も注目し続けたい。
BizteXの「BizteX cobit」
申請された交通費を「駅すぱあと」で確認計算するデモが行われていた
ビズオーシャンでは、「SPALO」というプロダクトを展示していた。音声入力もチャットボットも帳票作成も、それぞれ単体の製品はあるものの、一気通貫のサービスは初めて見た。スマートフォンに話し掛けることで、LINEやFacebook Messenger、SlackなどでAIによるチャットボットが対応し、その結果をExcelやPDFなどのファイルに出力してくれるというものだ。報告業務の手間を削減したり、手が離せない現場の状況をリアルタイムに共有したりできる。
ビズオーシャンの「SPALO」
チャットボットと対話しながら帳票を作成できる
アドバンスト・メディアは「AmiVoice」という音声認識ソフトを販売しているのだが、その技術を利用した「スーパーミーティングメモ」という製品を展示していた。会議や打ち合わせの発言を即テキスト化するサービスだという。複数人が日本語で会話する会議を自動認識する技術を初めて目にしたので、詳しく聞いてみるとユニークな仕組みを活用していた。
会議に参加するそれぞれが、自分のスマートフォンを利用して会話を認識するのだ。全員がマイクを装着するだけでよく、スマートフォンに話し掛ける必要はない。それぞれのアプリが、AmiVoiceの技術でテキスト化し、それを議事録としてまとめられるようにしてくれるのだ。これは、議事録を作る担当者の作業時間を確実に削減できることだろう。
アドバンスト・メディアの「AmiVoiceスーパーミーティングメモ」
会議の会話を自動で文字起こしをしてくれる
グレープシティは「Forguncy」の展示をしていた。Forguncyは、Excelのような機能と見た目のウェブアプリを作成できるツールだ。どうしてもExcelや紙と同じような見た目で帳票を運用したいという場合に活躍してくれる。コードを書く必要がなく、ローコード・ノーコードプラットフォームの一つとなる。こちらは別途、連載でも取り上げる予定だ。
方眼紙をもじったForguncyのブース。とても熱心な参加者が根掘り葉掘り質問していた