ソフトウェアの品質保証やテストを手掛けるSHIFTは5月14日、RPAの基盤技術を提供するRPAテクノロジーズと共同開発したロボット診断、改修サービス「ROBOPIT」の提供を同日から開始したと発表した。
SHIFTとRPAテクノロジーズは、RPAが人による単純作業を代行する「仮想知的労働者」の実現を目指し、1月31日にRPAロボット品質保証サービスの共同開発を発表していた。
RPA導入の課題を品質保証ノウハウで解決
SHIFTの創業者・社長を務める丹下大氏
協業の背景には、RPA導入を検討するユーザーが増える一方で、RPAへの投資対効果が得られないなど課題が浮き彫りになっている事情がある。
SHIFTの代表取締役を務める丹下大氏によると「導入後に、不具合や業務変化に耐えられずロボットが止まることがよくある」という。ここで、SHIFTは10年間培った品質保証の方法論で解決を目指す。また「手離れが悪い」という別の課題については標準化と業務改善で、「エンジニアが不足している」という問題については、非IT人材でもテストの実施など活躍できるようにするSHIFTの採用と人材育成の方法論を適用することで、問題を解決していく。
SHIFTによると、RPAの市場規模は右肩上がりで成長しており、将来的には、労働者200万人の代替が可能になるとしている。
具体的にSHIFTが実施するのが、既に作られたロボットを対象としたロボットの診断サービスで、RPAテクノロジーと共同で提供するROBOPITだ。ROBOPITでは、開発プロセス、事故リスク、保守メンテナンス、パフォーマンス、業務運用リスクという5つの観点から、診断、改修・開発、メンテナンスを実施する。
その上で、ROI(投資規模に対する効果)の総合判定や開発リスク診断、事故リスク診断、業務運用リスク診断、パフォーマンス診断、保守メンテナンスリスク診断といった内容のレポートを、最短5営業日で診断結果を報告する。価格は3ロボットに付き120万円からとしている。
RPAテクノロジーズの大角暢之氏
一方、協業を発表したRPAテクノロジーズの大角暢之氏は技術の市場動向変化を示すガートナーのハイプサイクルを引用し、RPAが現状「過度な期待のピーク期」にあり、幻滅期が近づいてきているという見方を示す。だが、幻滅期も長くはなく、やがてRPAが一般化する動きになってくると指摘。
RPAの特徴である既存業務システムへの変更が不要な点と生産性の高さを挙げた上で、「デジタルレイバー」の普及を日本全国に広げていく必要があるとの認識を示した。
普及を目指すうえで鍵を握るのが、「内製力」だという。RPA導入にあたり、システムインテグレーターやコンサルティングファームなどの支援を受けるかもしれないが、利用フェーズに入ると、ロボットが止まるなどさまざまな問題が間違いなく出てくるという。課題に対応し、修正していくためには、リソースを自社で内製しておく必要がある。内製する際に、SHIFTの品質保証のノウハウが必要になってくると大角氏は強調した。