SIは顧客との信頼関係を継続する重要なソリューション
では、市場の変化とともに今後縮小していくのではないかとも見られているSIビジネスに対する考え方はどうか。この点については、会見の質疑応答で聞いてみたが、本間氏の回答を紹介する前に、同社のウェブサイトに興味深い事業説明資料があったので取り上げておきたい。
図2がそれで、2017年12月に開かれた投資家向け事業説明会用に作成されたようなので、古い資料ではない。この図によると、IT市場規模として、2014年はトラディショナル(SIなどのITサービス)が90%だったのに対しデジタルは10%に過ぎなかったが、2025年にはそれぞれ40%と60%となり、逆転することを示している。
図2:IT市場規模の変遷予測(出典:NTTデータの資料)
同社はそうしたおよそ10年の変遷において、3つの段階があると見ている。第1ストリームが「トラディショナルなSIのさらなる効率化がなされる段階」、第2ストリームが「徐々にトラディショナルな領域のデジタル化が進んでいく過程」、第3ストリームが「新しい破壊的なビジネスをデジタルで作っていく過程」と捉えている。
この図に示されている割合については、外部の調査によるものとしているが、それに対して3つの段階を想定しているところから、同社はこうした割合の変化が起こり得ると考えているようだ。
そうした同社の認識を踏まえた上で、会見の質疑応答で聞いた本間氏のSIビジネスに対する考え方は、次の通りである。
「当社のビジネスモデルは、SIを含めたITサービス全体をライフサイクルとして提供しており、それぞれのお客さまと長年にわたって培ってきた信頼関係の上に成り立っている。SIではこれまでの受動型から提案などの能動型に変えていかなければならないところもあるが、お客さまとの信頼関係を継続させていく上では今後も重要なソリューションであり続けると考えている」
本間氏の個性だろう。これを物腰柔らかくゆっくりと諭されるように言われると、妙に説得力がある。現社長の岩本氏がかねて「当社はクライアントファースト・ソリューションプロバイダー」と語っているが、本間氏の見解は同じ意味を込めているのだろう。
とはいえ、それでもSIビジネスがこれからどうなっていくのかは気になるところ。折りに触れて、今後も本間氏に尋ねてみることにしよう。