SAPジャパン、「SuccessFactors HCM Suite」にGDPR対策機能--給与計算・勤怠管理も提供

藤本和彦 (編集部)

2018-05-18 07:00

 SAPジャパンは5月17日、人材管理システム「SAP SuccessFactors HCM Suite」の機能強化を発表した。今回、新たに「給与計算」と「勤怠管理」の本格提供と、同月25日に施行されるEU一般データ保護規則(GDPR)への対応が盛り込まれた。

 SAP SuccessFactors HCM Suiteは、人事や人材に関する業務をカバーするSaaS。タレントマネジメント機能(採用、育成、評価、選抜、配置)を中核としている。給与計算と勤怠管理の各機能は2017年から利用可能になっていた。法改正への対応などを含めたサービス提供体制が整ったタイミングで“本格提供”とした。

SAP SuccessFactors HCM Suiteの構成要素
SAP SuccessFactors HCM Suiteの構成要素

 GDPRへの対応は、企業が従業員、求職者、顧客の個人情報を適切に取り扱い、保護するための機能が新たに実装された。具体的には、(1)同意管理、(2)データブロッキング、(3)データ対象者情報レポート、(4)データ消去――の4つ。

 同意文書機能は、文書作成と承諾管理のプロセス全体を支援する。GDPRをはじめとするデータ保護に関する法規制では、企業が個人データの保管や処理について個人から明確な同意を得ることを義務付けている。例えば、求職者が求人に応募する前に同意文書に承諾するよう求めることができるという。

 データブロッキング機能は、保持期間内の履歴データや個人データへのアクセスを制限することができる。ユーザー権限ごとにデータへのアクセスを許可/遮断するかどうかを設定可能となる。

 データ対象者情報レポート機能は、SuccessFactorsの全てのシステムから各自の個人データを集めたレポートを作成する。企業にどのような個人データが保存されているかを可視化できる。

 データ消去機能は、データが保存されている場所ごとにデータ保持規定を定義し、保持期間後にデータを永久に消去する。保存に関する法的な根拠がなくなり次第、データを消去することが、GDPRなどの法規制の要件となっている。

 SAPでは、経営のグローバル化に伴う、各国の人事関連法規制への対応を強化している。既に91カ国の法要件に対応済みであるとし、200人以上の各国対応責任者を世界に配置する。世界各国の法改正や新しい規制に迅速に追従する体制を整えている。

 SuccessFactors HCM Suiteは、グローバルで6400社の導入実績を持つ。2018年は「人事業務のフルクラウド化」「グローバル展開の支援」「エコシステムの強化」という3つのポイントで事業を展開する。人事給与業務の運用コスト削減や、人工知能(AI)を使った業務自動化、蓄積された人事データの活用による効率的な人材育成などを支援する。

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