松岡功の「今週の明言」

日本ユニシス社長が語る「SIerではない新たな企業像」

松岡功

2018-05-18 10:30

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本ユニシスの平岡昭良 代表取締役社長と、日立製作所の後藤照雄 ITプロダクツ統括本部プロダクツビジネス本部長の発言を紹介する。

「従来のSIerとは違う“唯一無二”の存在を目指したい」
(日本ユニシス 平岡昭良 代表取締役社長)

日本ユニシスの平岡昭良 代表取締役社長
日本ユニシスの平岡昭良 代表取締役社長

 日本ユニシスが先頃、2017年度(2018年3月期)連結決算と、2018年度(2019年3月期)から2020年度(2021年3月期)までの新たな中期経営計画について記者説明会を開いた。平岡氏の冒頭の発言はその会見の質疑応答で、これまではSIer(システムインテグレーター)と呼ばれてきた同社の代名詞について、これからは何と呼ばれたいか、と聞いた筆者の質問に答えたものである。

 同社は新たな中期経営計画において、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、業種・業態の垣根を越え、さまざまな企業をつなぐビジネスエコシステムを創る中核となり、ビジネスと社会のデジタルトランスフォーメーションを実現するプラットフォームを提供していく方針を掲げた。

 2020年度の数値目標は、売上高3200億円(2017年度実績2870億円)、売上高営業利益率8%以上(同5.7%)。平岡氏は重点施策として、「注力領域の選択と集中」「顧客の付加価値向上を目指した関係性強化」「ビジネスを支えるプラットフォーム提供力の強化」「風土改革」「投資戦略」の5つを挙げた。

 中でも注目されるのが、注力領域の選択と集中だ。これについて同氏は、「社会課題に対する解決が期待され、中長期的成長が見込まれる市場において、顧客・パートナーと共に当社グループのアセットが活用できる領域を注力領域とし、経営リソースを集中する」と説明した。

 その注力領域としては、図に示すように「ネオバンク」「アセットガーディアン」「デジタルアクセラレーション」「スマートタウン」の4つを挙げ、「これらが関連付いてつながっていくことによって、当社ならではのプラットフォームを形成していく」と力を込めた。

 ちなみに、これらの注力領域における2017年度の売上高は270億円。同社はこれを2020年度に600億円へ拡大させる構えだ。つまりは、注力領域の成長が新たな中期経営計画達成のカギを握っているわけである。

図:新たな中期経営計画における注力領域
図:新たな中期経営計画における注力領域

 さて、平岡氏の冒頭の発言だが、筆者の質問には「SIerのままでは成長が見込めないのでは」との疑問も込めている。それを踏まえたうえで同氏は、「当社ではここ数年、大量の人月を投入してスクラッチ開発するようなSI案件を減らし、サービス型ビジネスモデルへの転換を図ってきている」とし、冒頭の発言となった。さらに付け加えると、「小粒ながらもキラリと光る存在になりたい」とも。こうした発言に、社長就任3年目に入った平岡氏の自信と覚悟がうかがえた。日本ユニシスの今後の変貌ぶりに注目しておきたい。

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