3.RPA推進プロセスの運用
最後に、RPAとデジタル化の推進プロセスを構築する必要がある。業務のRPA化は単なるツール活用にとどまらず、デジタルレイバーを活用するための道程である。導入したら終わりというわけではなく、プロセスの改善を追求する仕組みが重要となる。
プロセスを構築する上で重要なのは、RPAに関する最新の技術や手法を取り入れて、自社で活用できるかどうかを繰り返し吟味することである。RPA推進の中心となるCDOとその下のスタッフは、セミナー参加や先進企業との交流などを通じて最新の情報や事例を学んでいく必要がある。
また、社内の連携を密にし、現場と向き合って事業プロセスの理解を進めることで、RPA戦略の実効性を高めていくことが求められる。RPA推進の専任組織が設置される例が増えているが、これらの部署のメンバーが事業部門のプロセスを知らないという状況が散見された。そのような状況ではRPA化の推進もおぼつかない。

また、RPA戦略を各部門に落とし込み、予算編成のプロセスを明確にしなければならない。RPA化の予算を全社レベルで確保する例も多いが、各案件の中でどのように優先順位を付けて承認するかといった基準が必要となる。最終的に具体化した計画を各部門の推進責任者とすり合わせ、目標を明確にすることも重要である。この部分が実務者側としっかりと合意できないと、RPA戦略が遅々として進まないという状況に陥りかねない。
ここまで3回にわたって「RPAによる業務改革」をテーマに成功の秘訣を論じてきた。筆者も日々、RPA改革の現場でさまざまなアイデアが生み出され、RPAという手法自体がダイナミックに進化していることを肌で感じている。RPAは今後、日本企業のグローバル競争力を強化する必須の手法になっていくだろう。