前回まではITインフラストラクチャの自律化について解説しました。今回は、データベースの運用自律化を取り上げます。近年の技術トレンドを鑑みても、企業システム全体をクラウド化する流れは止まらないでしょう。データベースも例外ではなく、クラウドへの移行が進むのは確かです。
本稿では、オンプレミス環境のデータベースシステムからクラウド環境の自律化されたデータベースサービスへ移行した際の影響について考察します。
データベース自律化の効果は?
データベースの管理業務としては一般的に次のようなタスクが考えられます。
- 監視
- ログメンテナンス
- バックアップ
- パッチ適用
- キャパシティプランニング
- プラットフォームトラブル対応(リカバリなど)
- パフォーマンストラブル対応(チューニングなど)
- セキュリティ対策
- 構成管理
データベースの自動運用については、ストレージへのデータの最適配置やメモリ領域の最適配分など、昨今のデータベースシステムには既に多くの機能が搭載されています。また、フルマネージド型サービスを使えば、パッチ適用やバックアップといった作業も運用事業者に任せられます。こうした機能やサービスの活用により、データベース管理者は運用タスクを減らせるようになります。
ただ、これだけではデータベースの自律化を達成したとは言えません。データベース管理者が最も苦労し、時間を掛けているのは、インスタンス障害やメディア障害などのリカバリ対応、パフォーマンス改善のための設計見直しとチューニング作業、情報漏えいを防ぐセキュリティ対策などです。こうした作業は依然としてデータベース管理者が実施する必要があるためです。
真のデータベース自律化を実現するには、自律機能を有したデータベースサービスを採用する必要があります。オラクルにおいては、「Oracle Autonomous Database」と呼ばれる自律型データベースを既に発表しており、トラブル発生時の自動修復やパフォーマンスの自動最適化などの機能に期待が集まります。

図1:Autonomous Database Cloudによって自動化される管理業務