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富士通とPivotalの協業--企業の「本丸」にまでデジタル変革を取り込む - (page 2)

大河原克行

2018-05-24 07:00

 今回の協業を通じて、まずは、マインド変革やスキルアップを通じて、SoEの対応を強化。続いて、基幹システム(SoR)の最適化を進め、最終的にはSoEとSoRの全体最適化を図る。このうち最初の2つのステップで、Pivotalを選定したという。

 「お客様の課題やフェーズにあわせて、教育サービス、コンサルティングサービス、エンゲージメントサービス、トランスフォーメーションサービスを提供していくことになる。SoEでは、クラウドを前提としたアーキテクチャー設計とアプリケーションのモダナイゼーションを行い、SoRでは、現行資産を分析し、クラウドネイティブ基盤へのリフト&シフトを行う。ここにPivotal Cloud Foundryを活用し、マイクロサービスやコンテナにより、変化への対応力を向上したり、開発や修正周期の短縮、運用コストの大幅削減などにつなげたりできる。中核業務の強化につながるSoRの最適化の支援拡大を通じて、お客様のデジタル変革を推進していくことになる」とする。

 今回の両社の協業によるポイントは、デジタル変革において、SoRとの融合を重視している点だ。

 Pivotalジャパンは「Pivotal Ready Partner Program」として、既に国内3社と契約を結んでいる。NTTデータ、TIS、日立ソリューションズである。だが、これらの企業とのパートナーシップ契約の内容は、クラウドネイティブプラッフトォームに関する協業であるのに対して、今回の富士通との提携はそれだけにとどまらず、SoRの領域も対象にした内容になっている。

 Pivotalジャパン カントリーマネージャーの正井拓己氏は、「企業のデジタル変革は、SoRを無視して実行することはできない。その点では、基幹システム構築において、多くの実績を持つ富士通とのパートナーシップは、大きな意味を持つものとなる」とし、「5年前にデジタル変革といってもテクノロジの話が先行する格好だったが、いまでは、経営トップからデジタル変革の重要性を認識するなど、日本の企業の温度感が変わってきた。今年から、デジタル変革の動きが具体化することになる。ベストなタイミングでの協業だと判断している。お互いの知見やノウハウを融合でき、特にSoRに関しては、当社が知見を持たない部分であり、ここまで踏み出せるのは、今回の協業における重要なポイントになる」と語る。

 また、富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクトの中村記章氏も、「ベンダーやSIerの役割が変化するなか、今回の協業を通じて、富士通の新たな立ち位置を模索するものになる」としながら、「これまでの協業の多くは、完成した製品を売ってもらうというようなモノの取引であったが、今回の協業は、新たなコトを作っていく内容になる。可能性は無限であり、日本の企業のビジネスを成長させるお手伝いができる。もともとアジャイル手法は日本から生まれてものであり、これを欧米の企業が標準化した。日本の良さを再び取り戻し、強い日本を作りたい」と意欲をみせる。

 今回の協業においては、単に方法論やツールを提供するだけでなく、教育やマインドセットの変革などにも踏み出している点が見逃せない。

 Pivotalジャパン カントリーマネージャーの正井拓己氏は、「デジタル変革においては、優れたプラットフォームとツールを整えることが大切である。アプリケーションの設計や開発のスピードを高めるためには、それに最適化したプラットフォームとツールの採用が重要である」と前置きしながら、「だが、欧米でのデジタル変革の成功例をみていると、経営者がコミットメントしていること、現場に権限に与えていることが大切であることが分かる。デジタル変革のためのアプリケーション開発は現場が主導で行うことになる。それを促す組織文化の変革も大切である」とする。

 また、富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクトの中村記章氏は、「従来のウォーターホール型の開発手法では、ITの専門家が、専門技術を活用して、一定の期間を使って、アプリケーションを開発するというものであった。だが、アジャイルの世界では、現場の人たちが中心となり、自分たちが欲しいものを自分たちで作る仕組みになる。短期間に開発し、ある一定の完成度まで作り上げた時点で、それを活用し、改良を加える。顧客にとっても、これまでの成功体験がない取り組みであり、負担が増えることになる。そして、SIerはこれまで以上に目的を共有し、リスクを共有する必要がある。こうした意識改革が重要になる」とする。

 今回の協業によって提供するサービスのなかに、マインドチェンジをするためのコンサルティングサービスを用意したり、アジャイル開発の実践型教育を盛り込んだのも、デジタル変革には意識改革が重要に要素だと考えているからだ。

 今回の協業は、SoRにまで踏み込んだデジタル変革を支援するものであり、同時に企業全体の意識改革にまで踏み込む内容になる。そして、コトを中心とした協業であることも重要な要素となる。

 富士通とPivotalの今回の協業は、企業の「本丸」にまでデジタル変革を取り込むという点で、これまでにはない新たな挑戦となる。

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