海外コメンタリー

デジタル変革でCIOがエンタープライズアーキテクトを活用すべき理由

Forrester Research 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-06-15 06:30

 優れたデジタル体験や顧客体験への要求が高まってくるにつれて、テクノロジ企業の従来のやり方が抱えている限界が明らかになってきている。ビジネスの成功を後押しし、可能にするためには、テクノロジ企業の人材やプロセス、ガバナンスの構造、テクノロジ自体を変えていく必要がある。最高情報責任者(CIO)はそのための助けを必要としているが、エンタープライズアーキテクトはそういったデジタル変革に影響を与え、先導する役割を果たすことができる

 エンタープライズアーキテクトの役割は変わりつつある。利害関係者は、エンタープライズアーキテクトに対してそれぞれ異なる要求を持っており、エンタープライズアーキテクトのリーダーは、成熟の過程でそのやり方を変えてきた。Forresterは、CIOやIT部門がデジタル変革の取り組みを改善するのに役立つ可能性がある、エンタープライズアーキテクトに関する3つのトレンドを紹介している。それぞれのトレンドによって、エンタープライズアーキテクトの対象範囲は異なる方向に拡大されているため、CIOは、エンタープライズアーキテクチャやその価値に対して新しい考え方を発展させる必要がある。その3つのトレンドとは、以下のようなものだ。

  • あらゆる業務を横断するエンドツーエンドのデザインを組み込む。スピードが重要になる中、多くのCIOは戦術的なデザインに力を入れている。デジタル変革の成功は、「デザインの4つのオーダー」の基盤の上に成り立っている。その4つとは、システムのデザイン、行為のデザイン、工業デザイン、コミュニケーションのデザインだ。エンタープライズアーキテクトはデザインの規律を高め、利害関係者が、工業デザインとコミュニケーションのデザインだけでなく、システムや行為のデザインについても考えるように促す。
  • 会社のエンタープライズアーキテクチャを明確化するための、アーキテクチャ製品のポートフォリオの開発。DevOpsのマネージャーやビジネス製品マネージャーは、高い製品管理スキルを身につけるようになったが、これまでビジネス製品とテクノロジ製品を意味のある形で結びつけるのは難しかった。エンタープライズアーキテクトは、このギャップを橋渡しし、戦略とビジネス製品、アーキテクチャ製品、テクノロジ製品を整合させるツールとして、アーキテクチャのコンポーネント(カスタマージャーニー、バリューストリーム、ライフサイクルなど)を製品化した。
  • 事業横断的かつテクノロジ横断的プラットフォームのデザイン。多くの業界は、ビジネスプラットフォームの多面性によって混乱している。それに加え、多くのソフトウェアベンダーは、孤立化した事業を支える自社の立ち位置をそのまま維持するためのテクノロジプラットフォームを開発している。エンタープライズアーキテクトは、「事業部門を支えるにはどうしたらいいか」といった議論ではなく、「事業を支えるにはどうしたらいいか」という議論を促進できる。これは、事業横断的プラットフォーム、特に顧客の獲得、対応、維持に適した、顧客指向のプラットフォームにつながる。

 これらのトレンドには、それぞれ独自の強みと弱点があるが、CIOにとってもっとも重要なのは、どうすれば機動性を保ったまま、会社の規模を拡大できるかだ。デジタル体験の変革を推進しようとしているCIOは、既存の手法や技術、ツールが、その変革に適したものであるか、今がエンタープライズアーキテクトの役割を取り入れるべきタイミングかどうかを検討すべきだ。成熟した、優れたエンタープライズアーキテクトは、あらゆる利害関係者を1つの枠組みに収め、企業が直面している課題の解決を支援することができる。

--ForresterのプリンシパルアナリストGordon Barnett

エンタープライズアーキテクト

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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