先頭集団としてどんなときにも名が挙がるようでないとダメ
三澤氏はこのVMware on IBM Cloudについて、「世界中に自前のデータセンターを設けて、IaaS、PaaS、SaaSのフルサービスを多くのユーザーに提供しているクラウドベンダーは、私が知る限り、AWS、Microsoft、Google、そしてIBMの4社だけ。その中でも、現時点でVMware環境をクラウド上でそのまま利用できるのはIBMだけだ」と強調した。
VMware on IBM Cloudが大きな差別化ポイントであることは、以前から強調していた同氏だが、こうして自社を含めて“4社”について明確に語り始めたのは最近のことだ。今年2月に開いたクラウド事業戦略の会見でも、「日本市場においてAWSやMicrosoftとともに“先頭集団”で名前が出てくるようにがんばっていきたい」と語っていた。
ガートナー ジャパンが先頃公表した日本におけるクラウドIaaSの「マジック・クアドラント」2018年版(図3)によると、IBMは確かに、AWS、Microsoft、Googleに続く4番手に位置している。ちなみに、2017版においてもIBMのポジションはあまり変わらない。というのは、上位3社もIBMと同様、もしくはそれ以上に勢いよく伸びているからだ。

図3:日本におけるクラウドIaaSの「マジック・クアドラント」2018年版
(出典:ガートナー ジャパンの資料)
AWS、Microsoft、Googleは、かねてクラウドベンダーの「ビッグ3」とも呼ばれ、メディアでもそう扱われてきた。三澤氏はそのインパクトをかねて懸念していた。IBMもその先頭集団の1社として、どんなときにも名が挙がるようでないといけない、というのが同氏の考えだ。
同氏は筆者の質問に対し、「新規のお客さまを増やしていくためにも、パートナーエコシステムのさらなる拡充に注力したい」とも語った。そのパワーも増強して、今後、クラウドベンダーの先頭集団の1社として確かな存在感を発揮していけるか、注目しておきたい。