ドイツのSUSEのLinuxをはじめとしたオープンソースベースの製品群が、グローバルとともに日本の市場でも存在感を増している。それはなぜか、今後の競争力の源泉は何か――日本ではノベルに所属するSUSE Japanのカントリーマネージャーを務める川崎哲郎氏に聞いた。
存在感を増すミッションクリティカル向けLinux
ノベル SUSE Japanの川崎哲郎 カントリーマネージャー
「ミッションクリティカルな業務に対応するLinuxとして、このところ一段と評価していただけるようになってきたことを実感している」
取材の冒頭、SUSE Linuxの最近の手応えはどうか、と川崎氏に聞いたところ、こんな答えが返ってきた。
SUSEの主力製品である商用Linuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server(SLES)」は、メインフレームやインメモリデータプラットフォーム「SAP HANA」、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)向けなど、まさしくミッションクリティカルな処理が求められる各市場で、5割から8割の高いシェアを獲得しているという(図1)。
図1:ミッションクリティカル市場で利用されるSUSE Linux(出典:SUSE Japanの資料)
また、Linuxと同じオープンソースのクラウド基盤(IaaS)構築ソフトウェア「OpenStack」の展開にも注力。同社はOpenStackの推進プロジェクト「OpenStack Foundation」のプラチナメンバーとして積極的に活動しているほか、オープンソース技術の推進企業として多くの開発コミュニティーに貢献している。
現在のSUSEの製品ポートフォリオは、次の図2のように広がっている。この製品ポートフォリオを大別すると、OSのSLESやIaaS向けの「SUSE OpenStack Cloud」、ストレージ向けの「SUSE Enterprise Storage」などから構成される「Software-Defined Infrastructure(SDI)」領域と、コンテナ管理向けの「SUSE CaaS Platform」やPaaS向けの「SUSE Cloud Application Platform」から構成される「Application Delivery」領域に分かれる。つまり、SDIとApplication DeliveryがSUSEの事業領域である。
図2:SUSEの製品ポートフォリオ(出典:SUSE Japanの資料)
さらに、SUSEの製品群がこのところ存在感を増してきている背景として、この1年余りで有力ベンダーと相次いで協業を推進してきたことが挙げられる。「Hewlett Packard Enterprise(HPE)とのクラウド関連資産の買収をはじめとした戦略的提携」「富士通とのオープンソース製品の開発・マーケティング・販売にわたる広範囲な提携」「SAP Cloud Platformのサポート」などがそれだ。ちなみに、富士通とは「Business-Critical Linux」を共同開発して2017年7月に商品化している。
こうした動きから、SUSEはここ数年、業績としてもグローバルで2桁成長を続けており、日本でも着実な成長を遂げているという。