MAツールのメリットは、売上増?コスト削減?
さて、改めてMAツールで何が期待できるか見てみましょう。オートメーション(自動化)という言葉が過度な期待を抱かせてしまっているのかもしれませんが、MAツールはマーケティング施策の全てを自動化するのではなく、やるべきことの一部を自動化し、効率化するものです。そこで「やるべきこと」をどう定義するかですが、以下のようなステージを用います。
- 集客ステージ:オウンドメディアでコンテンツを作成し、そこへの流入を各チャネルごとに観測。集客したユーザーの行動データを収集・可視化し、チャネルごとに集客の効果を算出する
- 獲得ステージ:リード獲得のため仕組み化。問い合わせや資料請求、電子ブック配信用の入力フォームを設置し、リードを獲得を促す
- 選別ステージ:獲得したリードの選別。リードに対し、併せて収集したデータをもとにした重み付けを行う
- 接触ステージ:リードごとの適切なコミュニケーションの実行。メール、セミナー、電話、コミュニティー、SNSなどで進める
- 営業ステージ:内勤営業(インサイドセールス)が一次対応し、案件化しそうなリードを営業部門へ渡し、営業担当がクロージングする
見ての通り、これら全てを手動で実施するのは非常にコストがかかります。そこでMAツールの出番となるわけですが、導入に当たっては各ステージにおいて戦略的な施策実行が非常に重要となります。どのタイミングにおいてどんなコンテンツを用意するのか、どうやってリードを獲得するのか、リードをどのように評価するのか、その後のコミュニケーションをどう設計するか、といったことを担当者が考えていかなければなりません。
MAツールのメリットというと「売上増」を期待されるケースが多いですが、導入したらすぐに売り上げが増えるというわけではありません。それがMAツール導入によるものなのか、その他の要因(製品の機能向上、営業努力など)なのか、なかなか判断がつかないことも多々あります。そこで、まずは「コスト削減の効果(人件費)」で評価することをおすすめします。具体的には、
- この品質の見込み客のデータを収集するには何人の営業担当者が必要か
- リード獲得後に必要なコミュニケーションを行うには何人の担当者が必要か
など、いったんやるべきことを定義し、それを実際に人が行った場合にどの程度の作業量になるか。それらを自動化した際にどれだけコスト削減のインパクトがあるか、などを評価してみるといいでしょう。
ここまで、MAツールの国内市場の現状と導入のメリットについてお伝えしました。ご理解いただけたでしょうか。次回はステージごとの「やるべきこと」について解説していきます。
- 草皆直人(くさかい・なおと)
- 24-7 取締役COO
デジタルエージェンシーのインフォバーン、インターネットサービス事業者(IPS)のニフティにて、デザイナー・ディレクターとして制作業務やオウンドメディアの立ち上げを経験。2011年10月、コムニコに入社し、SNS運用支援ツールのサービス開発に携わる。2015年7月にグループ会社の24-7に転籍し、2018年4月に取締役COOに就任。HubSpotなどのMAツールを使った企業のマーケティング戦略立案・運用を支援している。