データベースソフトの最新版「FileMaker 17」が5月16日にリリースされた。アプリの開発環境が強化されたほか、モビリティに対する機能拡張が図られている。新版発売のタイミングに合わせて、ファイルメーカー日本法人 社長のBill Epling氏に話を聞いた。
ファイルメーカー日本法人 社長 Bill Epling氏
FileMakerはテクノロジの変遷とともに進化してきたという。近年では、iPhoneやiPadをはじめとするモバイルへの対応に重点を置いており、今回のメジャーアップデートでも機能が追加された。
まず、iOSデバイスのセンサから情報を取得する「GetSensor関数」を搭載した。バッテリ、位置、傾き、速度、加速度、磁気、歩数、気圧といったデータをモバイルアプリを通じて集められる。例えば、訪問企業の住所の近くに来たら当該顧客の情報を自動で表示できるようにすることも可能だ。
また、モバイルアプリが実行されていないときやバックグラウンドで実行されているときでも、端末にローカル通知を表示させられるようになった。さらに、オートコンプリートやキーボードショートカット、ドラッグ&ドロップ(iOS 11.2搭載のiPadのみ)にも対応した。
「Appleの100%子会社であるファイルメーカーは、iOSの新機能にいち早く対応してきた。これまでにも、カメラ機能を使ったバーコードスキャナやFace IDやTouch IDのサポートを行ってきた」(Epling氏)
FileMakerでiOS向けアプリを開発するメリットについてはどうだろうか。iOSは約1年間隔でメジャーバージョンアップを繰り返している。iPhoneやiPadで動く業務アプリを個別開発するとなると、こうしたハードウェアやOSの更新に合わせて、アプリのメンテナンスを続けなくてはならない。
最悪の場合、業務アプリの新しいOSへの移行が難しく、やむを得ず既存の環境を使い続けるしかないというケースもある。いつ壊れるか分からないというリスクを抱える上、情報漏えいやウイルス感染の危険もある。ビジネスにさまざまな影響を及ぼすと考えられる。
FileMakerをプラットフォームとして活用すれば、そうした問題は大幅に緩和される。「モバイルを導入したいが、やりたいことが決まっていない。モバイルを導入したが、うまく使いこなせていない。社内システムとどのように連携したらいいか分からない。そういう企業はまだまだ多い」(Epling氏)
FileMakerはクロスプラットフォームでの利用が可能な点もメリットだ。FileMakerで開発したアプリは、Windows、macOS、iOS、ウェブで動作する。各OS向けそれぞれの開発言語でアプリを構築する必要はない。クラウドの環境も整え、FileMakerを初めて使う人でも簡単に使えるようにした。
「我々にとって最大の競合は、ユーザー自身が何もしないということ。業務を効率化したいが、時間や費用がなくて何もしない。こうした企業に対しては、成功事例を共有したり、インハウス開発者の育成を支援したり、パートナー企業を紹介したりしている」(Epling氏)