北海道大学情報基盤センターは、最大4.0ペタフロップス(PFLOS)の理論演算性能を実現する学際大規模計算機システムを構築する。2018年12月の稼働開始を予定。プロジェクトを受注した富士通が5月24日に発表した。
現在、同センターでは、スーパーコンピュータシステムとクラウドシステムから成る学際大規模計算機システム、およびペタバイト級データサイエンス統合クラウドストレージを「北海道大学アカデミッククラウド」として運用している。新システムが「北海道大学ハイパフォーマンスインタークラウド」として稼働すれば、現行の20倍以上の処理能力を持つことになる。
これにより、従来の科学技術シミュレーション、人工知能(AI)、ビッグデータ、データサイエンスなどの活用・研究をさらに促進し、大規模計算機システムを画期的な研究に活用するための人材育成なども見据えた、より幅広いニーズに対応できる環境が整う。
PFLOSとは毎秒1000兆回の浮動小数点演算ができることを表す。新システムは、スーパーコンピュータシステムとクラウドシステムから構成され、富士通のx86サーバ「FUJITSU Server PRIMERGY CX2550 M4」(PRIMERGY CX2550 M4)など約1300台で構成される。
クラウドシステムは、北海道大学内に加え、今回新たに北海道から九州に至る複数の遠隔拠点にサーバを設置する。学術情報ネットワーク「SINET5」でつなげることで、全国規模の広域分散クラウドシステムとして、ネットワークやモノのインターネット(IoT)などの分散システムに関する研究に活用できる。
新スーパーコンピュータシステムは、Xeon Scalable Processor Familyを搭載した「PRIMERGY CX2550 M4」(1004台)で構成されるサブシステムAと、Xeon Phiを搭載した「PRIMERGY CX1640 M1」(288台)で構成されるサブシステムBを備えた、超並列型の計算機システム。
新クラウドシステムは、Tesla V100を搭載した「PRIMERGY RX2540 M4」をはじめとした64台のサーバを北海道大学内に設置するのに加え、関東、関西、九州の遠隔サイトにも計7台を設置。これらをSINET5で相互接続する。クラウド基盤には、OpenStackやKubernetes、Cephなどを統合した「Mirantis Cloud Platform」を採用する。
システム管理やジョブ運用管理には、HPCミドルウェア「FUJITSU Software Technical Computing Suite」を活用。ジョブ制御の最適化やノード占有など、さまざまな運用を想定し、利便性を向上させるとしている。