IBMは向こう2年間でフランスに1800人分の雇用を創出し、人工知能(AI)やクラウド、ブロックチェーン、IoTの人材を強化していくという。最高経営責任者(CEO)のGinni Rometty氏が現地時間5月23日、パリで開催された「Tech for Good Summit」で発表した。
IBMは同サミットで、同社が「ニューカラー(new collar)」と呼ぶ職域のスキルを訓練するプログラムの拡張も発表した。このプログラムは、4年間という従来の大学教育では身に付けることができない特定分野の高度なスキルをIT労働者に教育するというIBMの取り組みだ。IBMのプレスリリースによると、同サミットはEmmanuel Macron仏大統領が主催したという。
Rometty氏は同リリースで、「Macron氏は、AIによってあらゆる仕事、あらゆる職業、あらゆる業界が変革されるという信念のもと、大きな、そして賢明な賭けに出ている」と述べ、「IBMはこの信念を共有するとともに、『Watson』がここフランス、および世界中でもたらしている指数関数的な影響を示す証拠を毎日目の当たりにしている。われわれがフランスに新たに1800の雇用をもたらし、当社の顧客からの増大する要求に応えようとしている理由がここにある」と続けた。
IBMの発表によると、1800の雇用の内訳はビジネスコンサルタントやITアーキテクト、開発者、テクニカルエキスパートだという。これには同社が3月に発表した、AI関連の400程度の職も含まれている。
IBMはフランスの公共団体や私企業とのパートナー関係を活用するとともに、雇用に向けた今回の取り組みにより、「競争力を持った地域のハブ」の創出を支援していくことでフランスでの存在感を高めていく。リリースによると、こういった取り組みは既にリールとストラスブールで始まっているという。
IBM Franceのゼネラルマネージャーを務めるNicolas Sekkaki氏はリリースで、「IBMは政府との作業を続けていくことで、このユニークな時代における優位性を高めるうえで必要となる、スキルを持った労働力をフランスが確保できるようにする」と述べた。
このニューカラーという新たな職域に向けた訓練の拡張の一環として、IBMはセキュリティとデータサイエンス、AIといった分野における新たな役割を生み出すことになる。リリースによると、これらの役割に向けた準備として、従業員は上述したように大学教育ではなく、「職業教育やOJTを通じて」スキルを身に付けていくという。
またリリースによると、IBMは自治体などと提携して展開している教育プログラム「Pathways in Technology Early College High School(P-TECH)」でもフランス政府に協力し、恵まれない若者達に次世代のスキルと職業訓練を提供していく。P-TECHの取り組みには現時点で400社以上が参加している。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。